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情報機構学講座 Laboratory of Genetic Mechanisms
染色体生物学グループ Group of Chromosome Biology

准教授
西山 朋子染色体構造構築システムの理解
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西山 朋子准教授

私たち生物のゲノムは、染色体という形をとって次世代の細胞に継承されていきます。ヒトゲノムDNAは引き延ばすと約2mもの長さになると言われていますが、これがクロマチンを基本とする高次構造をとることで、わずか直径数マイクロメートルの細胞核の中に収納されています。S期において核の中で複製されたゲノムは、分裂期においてさらに数千から一万倍に凝縮し、分裂期染色体を形作ります。これらの分裂期染色体は、長さ数マイクロメートルの分裂期スピンドルの中央に並べられ、微小管によって両極から均等な力で引っ張られることで、二つの娘細胞に均等に分配されます。このようなゲノムの複製から、凝縮・分配に至る一連の染色体構造変化は、秩序だった分子基盤とそのダイナミックな変換に基づいて制御されていると考えられますが、その具体的な分子メカニズムには不明な点が多く残されています。

染色分が正しく分配される仕組みは?

正確な染色体分配にとって最も重要なイベントの一つが、姉妹染色分体間の接着 - Sister chromatid cohesion - です。複製されたゲノム(姉妹染色分体)同士の接着は、分裂期において各々の姉妹染色分体がスピンドルの両極から引っ張られる際、均等な張力を生み出し、これが染色体分配の引き金をひく、もっとも重要なステップとなります。このSister chromatid cohesion(以下「接着」)を担うのは、コヒーシンというリング状のタンパク質複合体(図1)です。コヒーシンは分裂中期染色体上においてはそのセントロメア領域で姉妹染色分体間の接着を維持し(図2)、分裂中期/後期移行におけるコヒーシンリングの切断(Scc1の切断)が染色体分配をもたらします。私たちは哺乳動物細胞、アフリカツメガエル卵、ショウジョウバエ細胞など、さまざまな生物種や発生ステージの細胞を用いて、この接着機構の謎にせまる研究を行っています。

染色体ダイナミクスネットワークの進化

生物はつねに生息環境の変動にさらされ、そのたびに生存のストラテジーを変容させることで進化の道を歩んできました。これらの変化はまた、染色体形態そのものや、その構成因子、あるいはダイナミクスに変化をもたらしました。私たちは、生物の進化にともなって、生存ストラテジーの変容がどのように染色体ダイナミクスを変化させていったのかを、哺乳類・両生類・ショウジョウバエ・菌類などの細胞を用いて明らかにしようとしています。

クロマチン構造と染色体構成因子の一分子ダイナミクス

染色体の構成因子や機能因子は、異なるクロマチン環境が入り組んだ染色体上でどのような挙動を示しているのでしょうか?染色体機能因子の挙動を明らかにすることで、これまで明らかにされてこなかった染色体機能因子の真の姿が見えてきます。これまで染色体構成因子・機能因子の分子集団としてのダイナミクスは、細胞生物学的な手法で明らかにされてきました。私たちはさらに高い解像度でDNAやクロマチン上での染色体構成・機能因子の一分子レベルのダイナミクスを明らかにする研究を進めています。近年私たちは、染色体接着因子コヒーシンの、DNA上・クロマチン上での一分子レベルの動態を明らかにしました。これらの分子ダイナミクスから染色体結合因子のクロマチン環境に応じた機能発現のしくみを明らかにすることを目指しています。

最新の研究内容、研究成果については研究室のホームページをご覧下さい。

図1

図2

References

  1. Kanke et al., EMBO Journal 2016; 35(24): 2686-2698
  2. Nishiyama et al., Proc. Natl Acad Sci USA. 2013; 110(33): 13404-9
  3. Peters and Nishiyama. Cold Spring Harb. Perspect. Biol., Nov 1;4(11) (2012)
  4. Nishiyama et al., Cell 143, 737-49 (2010).
  5. Nishiyama et al., Nature. 449, 341-345 (2007).
  6. Nishiyama et al., Nature. 446, 1096-1099 (2007).
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