研究室・教員

研究室紹介

分子遺伝学講座 Laboratory of Molecular Genetics
卵細胞生物学 Group of Developmental Cell Biology

教授
大隅 圭太卵表層の機能・構造制御の研究
講師
岩渕 万里核の分化能制御の研究
▶研究室のページはこちら
English
大隅 圭太教授
研究室のメンバー

多細胞動物の個体としての歴史は卵に始まります。私たちヒトも例外ではありません。誰もが1個の細胞である受精卵に起源をもっています。動物の卵は、細胞としては例外的に巨大で、その点でも特殊な細胞ですが、最も注目すべき特質は、全ての種類の細胞がそれから形成されうる、つまり、その核が“全能性”を有しているということにあります。また、複雑な構造をもった動物の個体を構築するためには、多種多様な細胞種からなる多数の細胞が必要ですが、そのために、受精した卵は細胞分裂を活発に繰り返して、急速に細胞数を増やします。したがって、卵はきわめて高い分裂能をもった細胞でもあります。私たちの研究グループは、動物、特に無尾両生類(カエル)の卵がもつ、全ての種類の細胞への分化を導きうる核の“全能性”と、30分という短い間隔で分裂を繰り返すことができる高い細胞分裂能(これはゲノムDNAを複製、分配する能力と細胞質を2つに分離する細胞表層の能力の双方を含みます)に着目して、卵の細胞核と細胞表層が、どのような機能・構造的特質をもっているのか、また、そうした特質を支える仕組みはどのようなものなのかを明らかにすること、言い換えれば、卵細胞の高い分化能力と分裂能力の分子基盤を解明することを目指しています。また、卵や精子などの生殖細胞がつくられるときの、細胞間のコミュニケーションの在り方に関心をもっています。

卵の全能性、高い分裂能の秘密に迫る

受精卵の細胞核は、クロマチンや核膜の構成タンパク質が、分化した体細胞の核とは大きく異なっていることが明らかにされています。こうした核の特殊性は、受精卵でみられる特殊なゲノムの複製や遺伝子の発現制御と関連していることが示唆されています。また、受精卵が細胞分裂を行う時に、卵の表面構造や表層の細胞骨格系が短時間で劇的に変化することが知られています。このような細胞表層の現象は、細胞質分裂を引き起こす収縮環の構築および収縮と連関したものであることが示唆されています。私たちは、こうした核の構成タンパク質の特徴や表層の構造変化を足掛かりにして、卵に分化全能性と高い分裂能をもたらしている細胞システムの分子基盤を解明したいと考えています。そのための分子細胞生物学的なアプローチとして、試験管内で卵の核を再構築できるカエル卵無細胞系や、卵が巨大な細胞であるために調製することが可能な、したがって他の細胞では調製が難しい、単離した細胞表層などのユニークな実験系を駆使した研究を行っています。これまで、初期胚の核では、クロマチンの核膜への結合の仕方が他の体細胞とは異なっていること、収縮環の構築に与るタンパク質には、細胞分裂をするときとしないときで修飾状態が異なるものがあることなど、興味深い糸口が得られています。

図1

アフリカツメガエルの未受精卵(左)と受精5分後の卵(右)。表層のダイナミックなリモデリングにより色素域が収縮する。

References

  1. Ohsumi, K. et al., Science, 262, 2033-2035, 1993.
  2. Iwabuchi, M. et al., EMBO J., 19, 4513-4523, 2000.
  3. Yamamoto, T. M. et al., Dev. Biol., 279, 345-355, 2005.
  4. Shintomi, K. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 102, 8210-8215, 2005.
  5. Nishiyama, T. et al., Nature, 446, 1096-1099, 2007.
  6. Nishiyama, T. et al., Nature, 449, 341-345, 2007.
カレンダー

今後の予定


pagetop