研究室・教員

研究室紹介

生体調節論講座 Laboratory of Cell Regulation
形態発生学グループ Group of Developmental Morphogenesis

教授
黒岩 厚脊椎動物の発生における形態形成の遺伝子的制御機構
講師
鈴木 孝幸四肢発生をモデルとした形態形成のロジックの定量的解明
助教
白石 洋一四肢組織形成の遺伝子制御機構
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English
黒岩 厚教授
研究室のメンバー

研究の概要

単純な形態をしたたった一つの細胞からなる動物の受精卵は、発生過程を経て高度に複雑化した個体を作り上げます。発生過程では、形作りの設計図として遺伝子中に書き込まれている発生プログラムに基づいて、多様な細胞種の創出と多様な形態の形成が行われます。私たちは発生過程で位置を決定する遺伝子機構と、位置に特徴的な形態形成を制御する遺伝子機構に興味をもって研究をしています。このような研究の対象として私たちは、脊椎動物の四肢の発生と四肢の形態形成に注目し、この過程を制御する転写調節機構とシグナル因子について研究を展開しています。

肢芽の位置を指定する機構の解析

私たちの四肢のもととなる肢芽は、体側板の決まった位置に誘導され、次に起きる組織形成過程では自律的に軟骨パターンを作り上げてゆくという特性を持っています。肢芽の形成と成長に必須なシグナル因子Fgf10 は、肢芽誘導時に予定肢芽領域で発現が開始し、成長過程では肢芽間充織で特異的な発現を示します。私たちは、このような位置特異的なFgf10 の発現を調節する因子群を同定し、その機能を探ることによって、肢芽の位置指定と肢芽間充織の特性を決定する機構を探ろうとしています。トランスジェニックマウスを用いることによって、Fgf10 遺伝子上には予定肢芽領域での発現開始、肢芽間充織での特異的発現、上皮間充織相互作用による発現の維持のそれぞれを制御する3つの独立した制御領域が存在することを明らかにしました。現在はこれらの制御領域に作用する転写調節因子の分離・同定を行っており、特に予定肢芽領域での発現については肢芽誘導因子として知られるシグナル伝達系の下流にある転写因子が同定され、さらに未知の転写因子も関与していることも明らかになってきました。これらの研究は、トランスジェニックカエルおよびマウスそしてノックアウトマウスを用いた解析と、転写調節機構の解析を駆使して行っています。またこれらの調節領域が、ヤツメウナギのような鰭を持たない無顎類から四肢のもととなる鰭を持つ魚類への進化過程で獲得される過程、そして魚類の鰭から四肢類の四肢と進化する過程でどのようにしてFgf10 遺伝子中に組み込まれていったのかについても研究を進めています。

四肢組織形成を制御するHox遺伝子群

Hox遺伝子群は、ショウジョウバエの発生過程で前後軸に沿った位置指定を行っている調節遺伝子として発見されましたが、脊椎動物でも同じような働きを持っています。骨格は文字通り動物の形を決める最も重要な要因ですが、脊椎動物のHox遺伝子群は骨の位置に特異的な形作りを指令しています。私たちは体幹部のみならず手足の骨格パターン形成過程でも、Hox遺伝子が働いていることを明らかにしました。Hox遺伝子群は形作りの遺伝子制御カスケードの中で、下流に位置する遺伝子群の発現を調節する働きを持っています。私たちはEph, ephrinのような細胞接着因子や、Six2のような細胞分化に関わる転写調節因子が、Hox遺伝子の指令下にあって実際の形作りの現場で働いていることを明らかにしました。現在はこれらの遺伝子の機能と、これらがHox遺伝子によってどのようにして調節されているのかを調べることによって、骨格形成に基本的な機構と、動物種によって異なる骨格の形が生み出される機構を理解しようと研究しています。

このように私たちは動物に共通な遺伝子を手がかりにして、脊椎動物の発生過程における形作りの遺伝子機構を解明し、さらに動物形態の多様性までも遺伝子レベルで語ることができることを期待して研究を行っています。

図1

マウスの掌・指部分の骨格形成過程

図2

マウス胚におけるHox の発現様式(左)と、肢芽特異的発現を制御する調節エレメントを持つレポーター遺伝子を導入したトランスジェニックマウス胚でのレポーター遺伝子発現パターン(左)

References

  1. Mizoguchi, M. et al. (2006). Dev. Biol.300,612-622.
  2. Sakiyama, J. et al. (2003). Development 130, 1225-1234.
  3. Suzuki, M. et al. (2003). J Biol Chem 278, 30148-30156.
  4. 上野直人、黒岩厚編「生物のボディープラン」共立出版2003
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