研究室・教員

研究室紹介

遺伝子実験施設 The Center for Gene Research
遺伝子解析学グループ Laboratory of Gene Analysis

教授
杉田 護色素体、ミトコンドリア、レトログレードシグナリング、RNA編集、
      シアノバクテリア、オルガネラの起源
講師
松尾 拓哉緑藻の概日時計と光シグナル伝達
助教
一瀬 瑞穂(特任)植物オルガネラの遺伝子発現制御機構
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English
杉田 護教授
朗らかな研究室の面々

研究の概要

植物細胞の中には「核・葉緑体・ミトコンドリア」の3つゲノムがあります。葉緑体とミトコンドリアの起源となったバクテリアが宿主細胞に取り込まれ細胞内共生してきた過程で、バクテリアが持っていた大半の遺伝子が核ゲノムに移行し、核、葉緑体、ミトコンドリアそれぞれのゲノムができあがったと考えられています。核ゲノムに移行した遺伝子は、その遺伝子産物(タンパク質など)を葉緑体やミトコンドリアに輸送することにより、光合成や呼吸などを支えています。このような葉緑体やミトコンドリアの機能を発現したり調節したりするのに数千個もの核遺伝子が働いています。
当研究室では植物細胞の中で重要な働きをもつ葉緑体やミトコンドリアの遺伝子発現の仕組みをさぐるため、核ゲノムに内蔵された遺伝情報を明らかにし、それらの遺伝情報発現制御の分子メカニズム解明をめざしています。(図1)。また、多くの遺伝子の発現制御には概日時計が関わっていることが知られています。当研究室では、概日時計の分子メカニズムの解析も行っています。

オルガネラ遺伝子の発現を制御する分子メカニズムの解明(杉田•一瀬)

葉緑体とミトコンドリアの遺伝子発現は転写•転写後•翻訳のそれぞれのステップで制御されています。とりわけ転写後制御(RNAレベルでの制御)が重要で、転写されてできた一次転写物が、シストロン間で正確に切断されたり、イントロン部分が正確に切り出されたり、前駆体RNAの末端部分がトリミングされたり、RNA分子内の特定のシチジン(C)がウリジン(U)に「RNA編集」されたりして成熟RNA分子がつくられます。このようなRNAレベルでの制御に様々なRNA結合タンパク質が働いています。最近の私たちの研究で、植物に固有のペンタトリコペプチドリピート(PPR)タンパク質がRNAスプライシングやRNA編集の鍵因子であることがわかりました。このような研究は植物の物質生産と光合成能の向上や二酸化炭素の削減に貢献するための基礎となります。実験材料としてヒメツリガネゴケ、ゼニゴケ、シロイヌナズナ、クラミドモナスを使っています。

真核生物の概日時計と緑藻の光シグナル伝達機構(松尾)

私たちは真核生物の概日時計の研究を行っています。そのために、単細胞真核生物である緑藻クラミドモナスを時計遺伝子研究の新しいモデル系として確立しました。現在、時計遺伝子が時間を刻む分子メカニズムの解析を進めています。最近、緑藻の概日時計の時刻合わせに関する分子メカニズムを解明しました。興味深いことに、その現象は、赤色光で強く誘導されました。これまでクラミドモナスでは赤色光を受容・伝達するメカニズムはよく解っていません。この解析をさらに進めることで、未知の光シグナル伝達機構が明らかになると期待されます。

図1

References

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