研究室・教員

研究室紹介

遺伝子実験施設 The Center for Gene Research
植物分子シグナル学グループ Laboratory of Plant Molecular Signaling

教授
多田 安臣植物の免疫応答におけるシグナル伝達機構
准教授
井原 邦夫微生物ゲノム解析、バイオインフォマティクス、高度好塩菌、ラン藻、エネルギー変換
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多田 安臣教授
研究室のメンバー

固着性の生活を営む植物は、脊椎動物が持つような後天性の獲得免疫による疾病防御応答を誘導しません。しかし、植物は病原体の侵入を先天性の受容体で感知する自然免疫と、植物独自の免疫システムにより、高度な生体防御ネットワークを構築しています。私たちは、植物の免疫系を制御するシグナル伝達機構の解明を目指しています。

植物ホルモンが制御する免疫系:全身獲得抵抗性

植物は生体防御システムとして自然免疫を有しており、微生物の細胞壁やべん毛成分などの微生物関連分子パターン、さらには病原体が分泌する毒性物質を細胞膜や細胞内の受容体によって感知すると、多様なシグナル伝達機構を介して免疫システムを活性化します。病原体が感染し自然免疫による疾病防御応答が誘導されると、感染葉から長距離シグナルが分泌され、非感染葉においても免疫システムが活性化されます。これを全身獲得抵抗性(systemic acquired resistance: SAR)と呼びます。SARでは、非感染葉においてサリチル酸(salicylic acid: SA)が蓄積し、SA応答性の遺伝子群が発現します。私たちは、植物の主要な免疫システムであるSARのシグナル伝達機構を明らかにしたいと考えています。

全身獲得抵抗性と環境シグナルのクロストーク

全身獲得抵抗性の成否は、植物の免疫力のみでなく、温度、光、水、虫害など、多様な環境要因に依存することが知られています。それぞれの環境要因と病原体によって活性化する情報伝達系のクロストークを解析することは困難であり、現在も不明な点が多く残されています。私たちは、独自に開発した無細胞タンパク質合成系を用いて、各シグナル伝達機構の制御因子候補を網羅的に合成し、in vitroにおける機能調節機構と生体での役割について調査しています。現在、1)虫害や傷害応答に関与するジャスモン酸シグナル、2)赤色光シグナル、及び3)乾燥応答に関与するアブシシン酸シグナルとのクロストークについて解析しています。

機械刺激が誘導する新奇免疫システム

個々の植物が持つ、微生物を認識する受容体は数百種存在すると推定されますが、自然界に存在する数十万種以上もの潜在的な病原体を全て認識することは不可能であると考えられます。しかし、植物は大部分の微生物の感染を抑止することができることから、私たちは、この受容体数の問題を克服する新奇免疫システムが存在するのではと仮定しました。この推定の免疫システムは、あらゆる病原体の感染時に生成される因子を認識し、活性化すると考えられます。私たちは、植物は葉面上の毛状突起であるトライコームが機械刺激(物理刺激)のセンサーとして機能し、風雨などの刺激を感知することで、免疫システムを一過的に活性化することを見出しました。多くの病原体は、雨滴や風に伝播されて感染するため、植物はこれらの機械刺激を警告シグナルとして捉え、感染に備えているのではないかと考えています。現在、機械刺激受容体から下流のシグナル伝達機構についての解析を行っています。

図1

植物の免疫システム

References

  1. Nomoto and Tada (2017) Genes Cells in press.
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  6. Spoel et al. (2009) Cell 137: 860-872.
  7. Tada et al. (2008) Science 321: 952-956.
  8. Xue et al. (2007) Cell Host Microbe 1: 263-273.
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