研究室・教員

研究室紹介

トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)
Institute of Transformative Bio-Molecules(ITbM)

植物パターン形成グループ Group of Plant Pattern Formation

客員教授
鳥居 啓子植物の機能的組織パターン形成における細胞間シグナルの理解と操作
准教授
打田 直行(特任)細胞外分泌型情報分子の解析と人工情報分子の創出
研究室のページはこちら
English
鳥居 啓子教授
研究室のメンバー

植物の機能的組織パターン形成:分子ロジックと細胞間相互作用

多細胞体である植物は、動物と同様に長距離シグナルと局所的シグナルを多様に利用することにより、巧妙に発生・パターン形成を行ないます。しかし、動物細胞とは異なり、植物の細胞は強固な細胞壁に囲まれており、自在に移動できません。そのため、植物の器官形成においては、細胞の増殖、成長、分化が、細胞移動を伴わないままでも、極めて綿密に調節するための仕組みが必要とされます。そのために、植物においては細胞同士のコミュニケーションを担う多種多様なシグナリング分子が用いられていることが、最近の研究により次々と解明されつつあります。私たちの研究室では、植物細胞がどのようにして複雑に錯綜する多数の細胞外シグナルを受容、選別、伝達し、美しい機能的組織を創り出していくのか、その分子メカニズムに迫ります。


植物は、地球上の生態系を構成する基盤として極めて重要な一角を占め、私たち人類を含めた全ての動物の生命活動と文明を支えています。その植物におけるダイナミックなパターン形成を理解し、 将来的には基礎発生生物学を超えて生態系や資源の持続的な維持のための知見やツールも提供しきたいと思っています。


本研究室は、政府の集中的な支援を受ける「世界トップレベル研究拠点プログラム」に基づき名古屋大学に設置されたトランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)に所属しています。ITbMでは合成化学の専門家や理論構造学者達とのアクティブな共同研究を日常的に行っており、この中で、植物の成長とバイオマス生産を操作することが可能になるような新しい分子、特に自然の仕組みからヒントを得た革新的な分子の開発を目指しています。さらにITbMでは、国際的な研究環境の整備を精力的に進めており、国内では稀なオープンでユニークな研究環境の中で学ぶ事が出来ます。

植物の発生を制御するペプチドシグナリングの解析とその操作技術の開発

私たちはこれまでに、植物の発生プログラムを制御する際に働く重要な分泌ペプチド群、および、それらが機能を発揮するために働きかける受容体群を発見してきました。これらの因子群が関わる発生プログラムには、植物の形態や大きさ、葉や花の形、維管束の形状、および、葉の表面でのガス交換と水分量の効率的な調節を担う気孔の分布パターンと分化、などが含まれています。ITbMでは、合成ペプチド化学と発生遺伝学の融合研究により、このペプチド群の活性の機能解析と新機能創出を行なっています。

ケミカルスクリーンによる植物の幹細胞の維持や分化に関わる因子の探索

植物にも種々の細胞に分化する幹細胞が存在します。植物の正常な発生過程には、それら幹細胞の維持と分化が厳密に制御されています。気孔が生まれる過程にも一過的な幹細胞(メリステモイド細胞)が存在し、非対称分裂を繰り返した後、最終的な気孔細胞へと分化していきます。当研究室の所属するITbM内に設置されたケミカルライブラリーセンターの協力を受け、 メリステモイド細胞の維持と分化に関わる化合物の探索を目指しています。

受容体リバースエンジニアリングによる植物の生長制御

植物には多様な低分子性ホルモンが存在し、生長、分化、環境応答など様々な局面において重要な役割を担っています。ITbMの合成化学チーム、理論分子設計チームと共同で、受容体をデザイン・改変し、植物の生長を自在に制御する試みを進めています。また、新たなホルモン類似体の作成とその局在・機能の解析も行なって行く予定です。


上記のような現在進行中のプロジエクト以外にも、 植物発生における細胞間コミュニケーションの理解と操作を目指す、斬新でユニークな発想にもとづく研究を歓迎します。

図1

References

  1. Hirakawa Y. et al. (2017) Cryptic bioactivity capacitated by synthetic hybrid plant peptides. Nature Commun., 8, 14318 (7 pages).
  2. Ikematsu S. et al. (2017) ERECTA-family receptor kinase genes redundantly prevent premature progression of secondary growth in the Arabidopsis hypocotyl. New Phytol., 213, 1697-1709.
  3. Tameshige T. et al. (2017) Stem development through vascular tissues: EPFL-ERECTA family signaling that bounces in and out of phloem. J. Exp. Bot., 68, 45-53.
  4. Nemhauser. et al. (2016) Plant synthetic biology for molecular engineering of signalling and development. Nature Plants, 2, 16010.
  5. Tameshige T. et al. (2016) A secreted peptide and its receptors shape the auxin response pattern and leaf margin morphogenesis. Curr. Biol., 26, 2478-2485.
  6. Lee J.S. et al. (2015) Competitive binding of antagonistic peptides fine-tunes stomatal patterning. Nature, 522, 439-443.
  7. Tameshige T. et al. (2015) Cell walls as a stage for intercellular communication regulating shoot meristem development. Front. Plant Sci.,6,324 (10 pages).
  8. Bemis S.M. et al. (2013) Regulation of floral patterning and organ identity by Arabidopsis ERECTA-family receptor kinase genes. J Exp Bot. 64:5323-33.
  9. Uchida N. et al. Regulation of plant vascular stem cells by endodermis-derived EPFL-family peptide hormones and phloem-expressed ERECTA-family receptor kinases. (2013) J Exp Bot. 64:5335-43
  10. Peterson, K.M. et al. (2013) Arabidopsis homeodomain-leucine zipper IV proteins promote stomatal development and ectopically induce stomata beyond the epidermis. Development 140: 1924-1935
  11. Uchida, N. et al. (2012) Regulation of inflorescence architecture by inter-tissue-layer ligand-receptor communication between the endodermis and phloem. PNAS 109: 6337-6342
  12. Lee, J.S. et al. (2012) Direct interaction of ligand-receptor pairs specifying stomatal Patterning. Genes & Development 26: 126-136
  13. Pillitteri L.J. et al. (2007) Termination of asymmetric cell division and differentiation of stomata. Nature 445: 501-505
  14. Shpak E.D. et al. (2005) Stomatal patterning and differentiation by synergistic interactions of receptor kinases. Science 309: 290-293
カレンダー

今後の予定


pagetop