論文紹介

第3回論文紹介(2004.6更新)

グループ名
物質理学専攻(化学系) 生物化学
著者
江崎雅俊,金森 崇,西川周一,Injae Shin,Peter G. Schultz,遠藤斗志也
タイトル(英)
Tom40 protein import channel binds to non-native proteins and prevents their aggregation
タイトル(日)
Tom40がつくるタンパク質インポートチャネルはノンネイティブなタンパクに結合し,その凝集を防ぐ
発表された専門誌
Nature Struct. Biol. 10, 988-994 (2003) [PubMed]

真核生物の細胞内にはミトコンドリアや核など様々な細胞内小器官があります。細胞内で合成されるタンパク質は,これらの小器官という働くべき場所に正しく移行して,はじめて機能することができます。小器官は生体膜という構造で囲まれているため,タンパク質のような大きな分子は自由に出入りすることはできません。そこで小器官の膜上には「膜透過装置」という仕掛けがあり,これがタンパク質が通るための穴を提供し,タンパク質はこの穴の中を,ヒモのようなかたちで通り抜けて内部に入ると考えられています。

それでは,このタンパク質を通す穴はどんな穴なのでしょうか。これまで,この穴は通るタンパク質と強く相互作用しない,と考えられてきました。通り抜けるべきタンパク質が穴の内面にベタベタとくっついてしまっては,穴が詰まってしまうからです。しかし本論文の研究からミトコンドリアの膜透過装置の穴は自分ではまだ立体構造をつくれずに凝集してしまうなどの危険がある場合は,一人前になれる準備が整うまで内部に留め置き,保護してあげる役目を持っていることが分かりました。また,タンパク質が穴に入る前に立体構造を作ってしまった場合は,穴に入るためにそれをヒモのようにほどく働きもあるのかもしれません。今回の結果はミトコンドリア外膜の穴に関するものですが,他の生体膜にある穴にも同様の性質があることが考えられます。

図1:


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