論文紹介

第5回論文紹介(2005.5更新)

グループ名
分子遺伝学 時間生物学
著者
冨田淳、中嶋正人、近藤孝男、岩崎秀雄
タイトル(英)
No transcription-translation feedback in circadian rhythm of KaiC phosphorylation.
タイトル(日)
転写・翻訳のフィードバックが無いKaiCのリン酸化リズム
発表された専門誌
Science 307: 251-254 (2005). [PubMed]

生物時計はほとんどすべての生物にみられ、生命が地球上で生きていくための基礎機構であるが、そのメカニズムは永らく謎であった。しかし1990年から研究は急速に展開し多くの生物でそれぞれの時計遺伝子(生物時計の発振に不可欠な遺伝子群)が発見され、時計遺伝子から作られる時計蛋白質がそれ自身の遺伝子の発現を抑制するというフィードバック制御が、生物が時間を測定すると原理とされてきた(転写・翻訳モデル)。我々もシアノバクテリアでkai時計遺伝子を発見し、その発現に顕著なフィードバック制御を見いだし、このモデルが該当すると考えてきた。
しかし昨年我々は遺伝子発現が強く抑制される連続暗条件下で,シアノバクテリアの時計遺伝子kaiCのmRNAは直ちになくなってしまうにもかかわらず,時計蛋白質KaiCのリン酸化が約1日周期の顕著なリズムを継続することを発見した。さらにこのリズムの周期は連続明下でのものと同様、温度の影響を受けない。またKaiCの周期突然変異体は暗期中でも変異した周期を示した。この実験結果は、従来の転写・翻訳モデルを否定し、時計蛋白質間の相互作用基づくKaiCのリン酸化サイクルが生物時計の発振メカニズムあることを示した。この成果は生物時計の原理についてこれまで考えを一変する重要なものである。

図1:

連続明と連続暗中でのシアノバクテリア細胞内でのkai遺伝子発現、KaiC量、KaiCのリン酸化の変動


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