論文紹介

第11回論文紹介(2008.6更新)

グループ名
形態統御学 脳機能構築学
著者
糠塚 明、藤澤 肇、稲田利文、小田洋一、高木 新
タイトル(英)
Semaphorin controls epidermal morphogenesis by stimulating mRNA translation via eIF2 in C. elegans.
タイトル(日)
線虫C. elegansにおいて、セマフォリンはeIF2 を介したmRNA翻訳を促進することにより表皮形態形成を制御する
発表された専門誌
Genes Dev. 22, 1025-1036 (2008)

セマフォリン(Semaphorin)とその受容体膜蛋白質プレキシン(Plexin)は、軸索ガイダンスを含む多様な形態形成現象を制御する動物の重要なシグナル系である。 しかし、現在、Semaphorin - Plexin系のシグナル伝達経路のin vivoでの知見は乏しい。 線虫C. eleganSemaphorin シグナルは表皮細胞の形態・配置を調節し、Plexin遺伝子の欠損は感覚器ray1の位置異常を引き起こすことが知られている。 本研究では、このray1表現型の抑圧変異検索を糸口にして、Semaphorin / Plexin変異体では翻訳開始因子eIF2 のリン酸化が上昇し、逆にセマフォリンシグナル活性化はeIF2リン酸化を低下させ蛋白質合成を亢進することが、生体内で証明された。さらに、Semaphorin / Plexin変異体でのRay1位置異常の元となる表皮細胞の形態異常は蛋白質合成低下に起因することが明らかになった。また、セマフォリンは細胞骨格系の調節因子コフィリンの合成を選択的に促進し、この選択性にはコフィリンmRNA中の3'UTRが重要であることが明らかになった。 これらの結果は、セマフォリンシグナルにより細胞骨格系調節因子が局所的に合成され、その結果、細胞骨格の改変が促進されて細胞形態が変化するという、新規な細胞形態調節機構を示唆している。

図1:

セマフォリンシグナルによる蛋白質翻訳を介した細胞形態調節モデル


pagetop