論文紹介

第11回論文紹介(2008.6更新)

グループ名
遺伝子解析学 遺伝子実験施設
著者
Nicholas O'Toole、服部 満、Charles Andres、飯田 慶、Claire Lurin、Christian Schmitz-Linneweber、杉田 護、Ian Small
タイトル(英)
On the expansion of the pentatricopeptide repeat gene family in plants.
タイトル(日)
植物におけるpentatricopeptide repeat遺伝子ファミリーの拡大
発表された専門誌
Mol. Biol. Evol. 25 (6), 1120-1128 (2008)

Pentatricopeptide repeat (PPR)タンパク質は、35アミノ酸のPPRモチーフを繰り返し持つタンパク質で、酵母、ハエ、ヒト、藻類、植物に広く存在する(図1a)。本論文では、オーストラリアとドイツの研究者と共同で、シロイヌナズナ、イネ、ヒメツリガネゴケのゲノム中に見いだされるすべてのPPR遺伝子を抽出し、その遺伝子構造を詳細に比較検討した。その結果、シロイヌナズナとイネのPPR遺伝子の大半は「intron less」であるのに対して、ヒメツリガネゴケのPPR遺伝子は「intron rich」と特徴付けられた(図1b)。intron poor遺伝子のイントロン挿入位置が遺伝子の5'側に偏っていたことや、3種の植物種すべてのPPR遺伝子を系統解析した結果から、顕花植物においては1回または2回の大規模なレトロトランスポジションによって、PPR遺伝子ファミリーが拡大したことが推察された。また、植物のPPRタンパク質はそのモチーフ構造の特徴から、いくつかのサブファミリーに分類される(図2)が、初期の陸上植物であるヒメツリガネゴケには、「Eサブファミリー」がまったく存在しないことと、「DYWサブファミリー」が少ないことが判明した。このような特徴から、DYWサブファミリーがオルガネラのRNA編集と関係があるのではないかと議論されている。

図1:

様々な生物種に存在するPPR遺伝子の数(a)と3種の植物種に存在するPPR遺伝子のイントロンの数(b)

図2:

PPRモチーフ(P)はその長さによって3つのバリアント(L1、L2、S)がある。植物のPPRタンパク質にのみ見いだされる3つのモチーフ(E、E+、DYW)の組み合わせによって、植物PPRタンパク質は4つのサブファミリー(P、PLS、E、DYW)のどれかに分類される。コケ植物ではEサブファミリーがないのと、DYWサブファミリーが少ないのが特徴である。


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