論文紹介

第11回論文紹介(2008.6更新)

グループ名
生体調節論 生体応答論
著者
久本直毅、森口徹生、漆山誠一、三谷昌平、澁谷浩司、松本邦弘
タイトル(英)
Caenorhabditis elegans WNK-STE20 pathway regulates tube formation by modulating ClC channel activity.
タイトル(日)
C.エレガンスのWNK-STE20経路はClCチャネル活性を調節することにより管形成を制御する
発表された専門誌
EMBO reports 9, p70-75 (2008).

WNKキナーゼは多細胞生物において種を越えて保存されたユニークなセリン/スレオニンプロテインキナーゼである。ヒトWNK遺伝子の変異は高血圧の一種である偽低アルドステロン血症(II)型を引き起こす。WNKはSTE20キナーゼおよびイオン輸送体と関係があることがわかっているが、個体レベルにおけるWNKの分子機能についてはよくわかっていなかった。われわれは線虫C.エレガンスにおいて、WNKキナーゼのホモログWNK-1がSTE20キナーゼGCK-3と結合してこれをリン酸化すること、wnk-1およびgck-3の欠損変異体では、それぞれ線虫の水分調節器官であるExcretory canalが伸長できない異常を示すことを見いだした(図)。wnk-1欠損変異による表現型は活性化型のGCK-3の発現により抑圧された。また、gck-3欠損変異による表現型はGCK-3と結合するClCチャネルCLH-3の欠損変異により部分的に抑圧された。これらのことから、WNK-1はGCK-3を活性化し、ClCチャネルの活性を負に制御することにより管形成を制御することが示唆された。

図1:

野生型(左)とgck-3変異体(中)のexcretory canal(GFPで可視化してある。赤矢印は伸長停止部分)。上は微分干渉像、下は蛍光像。右の模式図は線虫とヒトのWNKカスケードをそれぞれ示した。


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