論文紹介

第11回論文紹介(2008.6更新)

グループ名
構造生物学研究センター(超分子機能学 超分子構造)
著者
David Popp , 成田哲博, 小田俊郎、藤澤哲郎、松尾洋、似内靖、岩佐充貞、前田佳代、尾西裕文、前田雄一郎
タイトル(英)
Molecular Structure of the ParM Polymer and the Mechanism Leading to its Nucleotide Driven Dynamic Instability.
タイトル(日)
ParM 重合体の分子構造とGTPaseによる重合崩壊のメカニズム
発表された専門誌
EMBO J. 27:570-579 (2008)

ParM は細菌の分裂にあたってプラスミッドを両娘細胞に均等に分配する機能を担う。機能的には高等生物の微小管に近いが、蛋白質構造的にはアクチン類似の蛋白質である。私たちは多くの解析方法(構造生物学的および速度論的方法)を組合わせて用いることによって、ParMの機能はATPaseではなくGTPaseに駆動される重合体崩壊メカニズムによることを明らかにした。(1)負染色電子顕微鏡法による重合体の単粒子解析からGTP結合型のParM重合体構造を分解能24Åで得た(図A,B)。(2)次にGTP結合型、GDP結合型の単量体の結晶構造を得た。重合体モデルにはこの両者をあてはめることはできる(図A,B)が、ヌクレオチド非結合単量体構造(先行研究)をあてはめることはできない。すなわち、GTP型からGDP結合型への変化は重合体内で起きるが、GDP放出は重合体端でのみ起き、即脱重合となる。(3)重合体端でのGDP放出速度は速く、端にあらたにGTP結合型単量体が結合する時間的余裕を与えない。そのためにGTP(GDP)重合体は一気に崩壊する。それに対し、重合体端からのADP放出速度は数倍遅く、ATP結合型単量体が端に結合して崩壊を食い止め再度伸長に転じることが可能となる。これらの結果はGTP-ParMが伸長した後、端から連続崩壊する現象(図C)をよく説明する。

図1:

A, B: ParM重合体の3次元構造模型。AとBでは視角が異なる。いずれもGMPPNP結合型(GTP結合型と同一と考えられる)。構造マップ(等高面によって表示)は負染色した試料の電子顕微鏡写真から単粒子解析法によって得た。使用した単粒子解析法は以前私達が独自に開発したものである。リボン表示はこの研究で得た重合体構造の原子座標モデル。(構造マップと、ParM-ADP単量体の結晶構造(GTP結合型とほぼ同一)及びエネルギー最小化法を用いて構築した)。
C: 種々のヌクレオチド存在下でのParM重合体崩壊の時間経過。エバネッセント蛍光顕微鏡で個々の重合体の長さを実時間観察した。赤、GTP存在下:ピンク、GTP + ATP;青、ATP;黒、ATP- γS;緑、GMPPNP。GTPが存在するときのみ重合体は一途崩壊する。ATPでは脱重合と伸長を繰り返す。加水分解できないヌクレオチドでは重合体は安定である。


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