論文紹介

第11回論文紹介(2008.6更新)

グループ名
超分子機能学講座 生体膜機能
著者
小嶋 誠司、篠原明梨、寺島浩行、薬師 寿治、佐久間麻由子、本間 道夫、難波啓一、今田勝巳
タイトル(英)
Insights into the stator assembly of the Vibrio flagellar motor from the crystal structure of MotY.
タイトル(日)
MotY結晶構造から見えるVibrioべん毛モーターの固定子形成機構
発表された専門誌
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 155: 7696-7701, 2008.

ビブリオ菌のNa+駆動型極べん毛の回転には、PomA, PomB, MotX, MotYの4つの蛋白質が必要である。PomAとPomBはトルク発生を担う固定子複合体として機能する。MotXとMotYはべん毛基部でTリングを構成し、PomA/PomB複合体のモーターへの集合に関与している。我々はMotYの結晶構造を2.9Åの分解能で決定した。MotYはN末(MotY-N)とC末(MotY-C)の2つのドメインからなる(図1)。MotY-Nは新規の構造を示したが、MotY-Cは推定ペプチドグリカン(PG)結合モチーフを含み、その構造はPalやRmpMといったPG結合蛋白質と非常によく似ていた。MotY-NまたはMotY-C断片の解析から、MotY-Nは固定子の回転子周囲への集合に必要であり、MotY-CはPG層に結合することで、固定子-回転子間相互作用を安定化していると考えられた。これらの結果をまとめて、我々はビブリオ菌極べん毛モーター固定子複合体の分子集合モデルを提案した(図2)。

図1:

MotYの全体構造。MotYは2つのドメインで構成される。N末側(Nドメイン)は新規の構造を示すが、C末側(Cドメイン)はペプチドグリカン(PG)結合モチーフを含み、その構造はこれまでに解明されたPG結合蛋白質と非常に良く似ていた。

図2:

ビブリオ菌極べん毛モーター固定子PomA/PomB複合体の分子集合モデル。MotYはスペースフィリングモデルで示してある(青がNドメイン、黄がCドメイン)。OMは外膜、PGはペプチドグリカン層、IMは内膜を表している。(A)MotXとMotYが複合体を形成し、PGに結合せずにペリプラズム空間を拡散している。(B)MotX/MotY複合体がべん毛基部体に相互作用するとMotYのCドメインの構造変化が誘起され、PGへの親和性が増加する。その結果MotX/MotY複合体の基部体への結合が安定化しTリングが形成される。PomA/PomB複合体はこのとき膜上を拡散している。(C)PomA/PomB複合体がTリング中のMotXを介して回転子の周りに集合し、PomBのC末に存在するPG結合モチーフを介して固定され、固定子複合体の集合が完成する。


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