論文紹介

第11回論文紹介(2008.6更新)

グループ名
超分子機能学講座 生体膜機能
著者
檜作 洋平、小嶋 誠司、薬師 寿治、川岸 郁朗、本間 道夫
タイトル(英)
Systematic Cys mutagenesis of FlgI, the flagellar P-ring component of Escherichia coli.
タイトル(日)
大腸菌べん毛モーターPリング構成因子FlgIの系統的システイン変異解析
発表された専門誌
Microbiology, vol.154, pp.810-817, 2008

細菌は菌体から生えたべん毛をスクリューのように回転させることで遊泳する。その回転力は菌体膜に埋め込まれたべん毛モーターと呼ばれる超分子構造体によって生み出される(図1)。このべん毛モーターにおいて、ペプチドグリカン層に位置するPリングは、軸受けとして機能しべん毛モーターの滑らかな回転を担っている。本論文では、Pリングの構造解析を目的として、Pリング構成因子FlgIに対して系統的システイン変異導入を行い、解析した。FlgIのN末端から10残基ごとにCys残基に置換した32種の系統的Cys置換体を作製し、それぞれタンパク質安定性に影響を与えるか、運動能に影響を与えるか、またCys特異的修飾試薬mPEG-maleimideで修飾されうるか、という3つの観点から分類わけを行った(図2)。その結果、タンパク質安定性及び運動能に影響を与える残基とmPEG-maleimideによって修飾されうる残基とは重なり合わないということが明らかとなった。これはタンパク質安定性や機能に重要な残基がタンパク質のコアやタンパク質間のインターフェイスに位置しており、逆にあまり重要でない残基はタンパク質表面に露出しているという、理にかなった構造情報を示唆している。また、運動能に影響を与える置換残基がN末端領域に集中していたことに加え、異なる細菌間でのFlgIアミノ酸配列比較からN末端側1-120残基が高度に保存されていることが分かり、FlgIが機能する上でこの領域が重要な役割を持っていることが示唆された。

図1:

大腸菌べん毛モーターの模式図。

図2:

Pリング構成因子FlgIの系統的Cys変異導入実験のまとめ。motility:運動能に影響を与える残基、amount:タンパク質安定性に影響を与える残基、modified:Cys特異的修飾試薬mPEG-maleimideで修飾されうる残基。


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