論文紹介

第11回論文紹介(2008.6更新)

グループ名
超分子機能学講座 生体膜機能
著者
伊藤元博、須藤雄気,古谷祐詞、沖津貴志、和田昭盛、本間道夫、John L. Spudich、神取秀樹
タイトル(英)
Steric Constraint in the Primary Photoproduct of Sensory Rhodopsin II Is a Prerequisite for Light-Signal Transfer to HtrII.
タイトル(日)
光情報伝達をスタートさせる特異な立体障害
発表された専門誌
Biochemistry in press (2008)

生物は、有害な紫外線を避けるための蛋白質を保持している。ある種の細菌は2種類の紫外線センサー蛋白質、センサリーロドプシンI(SRI)とフォボロドプシン(pRもしくはSRII)を持ち、これらが下流のリン酸化カスケードを通して、べん毛モーターの回転方向を制御する。これにより紫外線を回避する「負の走光性」が実現する。これら反応が始まるきっかけは蛋白質の「光励起」であるが、実際に蛋白質内部ではどのような構造変化が、そのきっかけとなっているのであろうか。本論文では、変異体を用いて、SRIIのシグナル伝達効率と、Thr204-発色団(レチナール)との立体障害の間に正の相関があることを明らかにした(図1)。これにより、光レセプターからべん毛モーターにおける情報伝達経路は、光励起に伴うレチナールとThr204の立体障害からスタートしていることが明らかとなった(図1)。この成果は、化学結合変化と、細菌の生物学的応答(走光性)を結びつけたものと評価され、Biochemistry誌の注目論文として取り上げられる予定である。

図1:

本論文で明らかにしたシグナル発生機構(左)。光励起に伴い発色団レチナール(黄色)が異性化し、Thr204との間で立体障害を引き起こす。その程度と最終的なシグナル伝達効率との間に正の相関があることを明らかにし、シグナル伝達をスタートさせる特異な構造変化を同定できた(右)。


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