論文紹介

第11回論文紹介(2008.6更新)

グループ名
構造生物学研究センター(超分子機能学 超分子構造)
著者
成田哲博, 水野直子, 吉川雅英、前田雄一郎
タイトル(英)
Molecular determination by electron microscopy of the Dynein-microtubule complex structure.
タイトル(日)
ダイニン-微小管複合体の三次元構造決定造
発表された専門誌
J. Mol. Biol. 372:1320-36 (2007)

ダイニンは微小管上をマイナス端に向けて移動するモーター蛋白質で、微小管が関係する広い範囲の細胞運動に重要な役割を果たしている。モータードメインだけで500kDa程度ある巨大な蛋白質で、良く研究されているキネシンやミオシンとは全く異なる機構で動いていると考えられる。その機構を知るためには微小管との結合状態の構造を知ることが必要不可欠である。このような構造の結晶化はほぼ不可能であるため、通常電子顕微鏡法を用いるが、ダイニンは大きすぎるため微小管の構成要素であるチューブリンダイマーと1:1に結合することができない。そのため繊維状蛋白質複合体に広く用いられているhelical reconstructionを使うことができない。また、10 nm以上の長さを持つ一本のコイルドコイルを介して微小管と結合する特殊な結合様式のため、クライオ電子顕微鏡法(急速凍結した蛋白質溶液をそのままで観察する手法)を使用する際の氷の厚さが最低80nm以上必要で、シグナルが極めて弱くなってしまう等、困難な点が多くあり、研究はあまり進んでいなかった。私達は、微小管の性質をうまく利用することで微小管に結合したダイニンの位置をクライオ電子顕微鏡写真から特定する新しいアルゴリズムを開発し、シミュレーションを用いてその方法がうまく働くことを示した。この方法はダイニン分子のモーターメカニズムの解明に大きく貢献できると期待される。

図1:

画像解析アルゴリズムのフローチャート

図2:

微小管-ダイニン複合体構造決定シミュレーション


pagetop