論文紹介

第11回論文紹介(2008.6更新)

グループ名
遺伝子実験施設 ゲノム機能学
著者
松尾拓哉、岡本和久、小内清、丹羽由実、下河原浩介、石浦正寛
タイトル(英)
A systematic forward genetic analysis identified components of the Chlamydomonas circadian system.
タイトル(日)
体系的な順遺伝学的解析によるクラミドモナス概日時計システムの構成因子の同定
発表された専門誌
Genes & Development, Vol. 22, No. 7, p. 918-930, 1 April 2008

緑藻はかつて藍色細菌を葉緑体として細胞内に取り込み、陸上植物の祖先となった生物と考えられている。生物時計の進化を考える上で非常に興味深い生物であるが、生物時計の研究はほとんど進んでいなかった。そこで我々は緑藻の一種であるクラミドモナスにおいて、葉緑体ゲノムに組み込んだホタルルシフェラーゼ遺伝子由来の生物発光を指標にして多様な概日リズム変異体105個を得た。それらの変異体のうち、37変異体の原因遺伝子(30遺伝子)を同定し、少なくとも6遺伝子は生物時計に重要な"時計遺伝子"であることを確認した。それらはそれぞれ転写因子、F-boxタンパク質、機能の推定できないタンパク質をコードしていた。興味深いことに、3つの転写因子(ROC15,40,75)は陸上植物の時計タンパク質と部分的に類似しており、もう1つ(ROC66)は同じく陸上植物の花成時期制御タンパク質と類似点が見出された(図1)。一方、F-boxタンパク質(ROC114)と機能未知タンパク質(ROC55)に関しては他の生物のタンパク質との間に顕著な類似点は見つからなかった(図1)。本研究の結果から、緑藻の生物時計は陸上植物の特徴と独自の特徴を合わせ持ち、藍色細菌の特徴は失っていることが明らかになった(図2)。また、クラミドモナスは"緑の酵母"と称されるようにシンプルで実験に適した真核生物であり、今後の生物時計研究に大いに貢献するモデル生物となると期待される。

図1:

クラミドモナス時計タンパク質

図2:

生物進化と時計遺伝子


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