論文紹介

第28回論文紹介(2016.11更新)

グループ名
遺伝子解析学(遺伝子実験施設)
著者

林 理恵、杉田千恵子、杉田 護


タイトル(英)
The 5' untranslated region of the rbp1 mRNA is required for translation of its mRNA under low temperatures in the cyanobacterium Synechococcus elongatus.
タイトル(日)
シアノバクテリアSynechococcus elongatus RNA結合タンパク質をコードするrbp1 mRNAの5’非翻訳領域が低温での翻訳に必要である。
発表された専門誌
Archives of Microbiology・in press・2016年・DOI: 10.1007/s00203-016-1270-0

シアノバクテリアは植物と同じ酸素発生型の光合成を行い、地球の大気圏の酸素を生み出した細菌で、地球のほぼ全域(淡水、海水、土壌、極地、温泉など)に生息している。単細胞性シアノバクテリアの一種であるSynechococcus elongatusには、RNA recognition motif (RRM)をもつRNA結合タンパク質(Rbp1, Rbp2, Rbp3)が存在し、このうちRbp1が低温で発現誘導する(図1)。本論文では、その発現誘導の分子メカニズムを明らかにするため、Rbp1遺伝子の転写開始点上流域と5’非翻訳領域の一部を欠失した様々なDNA領域にレポーター遺伝子(luxAB)を融合させたキメラ遺伝子を作製しSynechococcus elongatus細胞に導入した。得られた形質転換株を用いて、低温(15℃)条件でのキメラ遺伝子の発現レベル(RNA量)とレポーター活性(発光量)を測定した。その結果、Rbp1の低温発現誘導は転写レベルでの制御ではなく、mRNAの安定性と翻訳レベルでの制御が重要であることを明らかにした。

図1:シアノバクテリアには4タイプのRbpタンパク質が存在する (a)。タイプIbは海洋性シアノバクテリアに存在し、C末端に保存配列SGWEDRSYをもつ。タイプIIIのC末端に保存配列PRPRWAが存在する。S.elongatusを通常培養温度(30°C)から低温(15°C)にシフトすると、rbp1の発現レべルが増加した (b)。

図2:rbp1 mRNAの5’非翻訳領域の仮想二次構造。
Box I, Box II, Box IIIは、シアノバクテリアの低温誘導性rbp遺伝子の5'非翻訳領域に保存されている配列を示す。SDはリボソーム結合部位。温度によって、mRNAの二次 構造が変化することが予想される。この構造変化に保存配列間の相互作用が関与している可能性が考えられる。


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