論文紹介

第28回論文紹介(2016.11更新)

グループ名
発生メカノセルバイオロジーグループ
著者

Mayumi Iwasaki, Hiro Takahashi, Hidekazu Iwakawa, et al., Yasunori Machida and Chiyoko Machida

タイトル(英)
Dual regulation of ETTIN (ARF3) gene expression by AS1-AS2, which maintains the DNA methylation level, is involved in stabilization of leaf adaxial-abaxial partitioning in Arabidopsis
タイトル(日)
シロイヌナズナの葉の向背軸面の領域化において DNAメチル化の維持に関わるAS1-AS2複合体はETTIN (ARF3) 遺伝子発現を二重に制御する
発表された専門誌
Development 140, 1958-1969 (2013)

葉は、茎頂メリステムから、基部—先端部軸、向(表)—背(裏)軸、左右相称性軸という3つの軸に沿って形成される(図1A) 。以前から葉形成を担っている複数の制御因子は知られていたが、それらをさらに上位から制御する仕組みについては不明であった。シロイヌナスズナのASYMMETRIC LEAVES1 (AS1) AS2遺伝子は、このような上位に位置している因子である。この論文以前には、AS1-AS2 タンパク質は核内で複合体を形成し、葉の背軸側(裏側)分化の後に向軸側(表側)領域が形成されるステップに機能していること(図1B)、裏側化に関わるETT/ARF3ARF4遺伝子の発現抑制に関わっていること(図1A)、 AS1-AS2 によるこの抑制にはクロマチン再構成因子や核小体関連タンパク質なども協調的に機能することがわかっていた。しかし、AS1-AS2 複合体がどのような仕組みでETT/ARF3, ARF4の発現を抑制するかは不明であった。

図1:シロイヌナズナの葉の形態形成におけるAS1-AS2の役割

   

本論文では、図2に示すようにAS1-AS2はETT/ARF3に関しては二重に抑制する。また、tasiRNAによるmRNAの分解系を促進することによりARF4の発現も抑制することを報告した。またAS1-AS2が、ETT/ARF3のコード領域内のCGのDNAメチル化(メチル化酵素MET1 依存的なgene body methylation)に必要であることを示した(図2)。さらに、遺伝学的解析により、ETT/ARF3ARF4の発現抑制系は、葉の表側分化及び左右相称で扁平な葉を形成するための主要な制御系であることがわかった(図2)。

図2:AS1-AS2によるETT/ARF3ARF4の発現制御の仕組み

AS1-AS2はETT/ARF3のプロモーター領域へ結合しその発現を抑制し、それと同時に小分子RNAによるmRNAの分解系を促進することによっても抑制する。つまり、二重に抑制する。また、ETT/ARF3のgene bodyのメチル化も誘導する。


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