論文紹介

第28回論文紹介(2016.11更新)

グループ名
発生メカノセルバイオロジーグループ
著者

Michiko Sasabe, Nanako Ishibashi, Tsuyoshi Haruta, Aki Minami, Daisuke Kurihara, Tetsuya Higashiyama, Ryuichi Nishihama, Masaki Ito, and Yasunori Machida

タイトル(英)
The carboxyl-terminal tail of the stalk of Arabidopsis NACK1/HINKEL kinesin is required for its localization to the cell plate formation site
タイトル(日)
シロイヌナズナのAtNACK1/HINKELキネシンの細胞板形成部位への適切な局在にはストーク領域のC末端が必要である
発表された専門誌
J. Plant Res 128: 327-336 (2015)

NACK1キネシンは、植物の細胞質分裂の中心的なイべントである細胞板形成に必須の因子である。細胞板は、フラグモプラストと呼ばれる主に微小管からなる巨大で動的なタンパク質の束が細胞の内部から親細胞壁に向かって遠心的に拡大成長するときに、その内側で形成される(図1)。
NACK1は、キネシン様タンパク質に共通して見られるモーター様配列を保持していること、フラグモプラストの中央の細胞板形成部位に局在し、その機能 不全はフラグモプラストの遠心的拡大を止めることから、フラクグモプラスト微小管の拡大成長や細胞板形成に必要な物質を運んでいることやそれに関連する 諸反応に関与する可能性が推察されていた。最近になって、NACK1およびそのホモログが微小管上を実際に移動することが示された。本論文では、シロイヌナズナの NACK1 ホモログ(AtNACK1)が、その N末端側のモーター様配列に加えて、C末端領域にも そのモーター活性を促進する機能が存在する可能性を報告した。図2に示すように、AtNACK1-GFP (C末端融合GFP)をシロイヌナズナ植物に導入すると大部分は細胞板形成部位へは移動しないで、フラグモプラスト微小管上に留まっているように見えた(図2)。しかし、GFP-AtNACK1は大部分が細胞板形成部位へは局在した(未発表)。これらの結果から、C末端融合GFPはAtNACK1の微小管結合には影響しないが、細胞板形成部位への移動を遅延させると推察され、C末端領域にはAtNACK1モーターの移動に関わる何らかの情報が存在すると考察された。

図1:フラグモプラストにより推進される植物細胞の細胞質分裂の模式図

フラグモプラスト構造体の中では、緑色で示された繊維状の微小管が束になりリング状に並び柵を形成する。柵の内側で微小管が消失して外側で再生されることにより全体として遠心的に拡大する。その内側で茶色で示した細胞板(細胞膜と細胞壁の複合体)が新生される。

図2:シロイヌナズナ細胞のフラグモプラストにおけるAtNACK1-GFP融合タンパク質の局在パターンとArNAK1-GFPの植物体の成長に対する効果

AtNACK1の全コード領域のC末端に対応するDNA配列にGFPコード配列を連結し(AtNACK1 genome-GFP)、野生型のシロイヌナズナに導入した。(a) 形質転換植物の根におけるFM4−64とGFPの蛍光シグナルのライブセルイメージングによる経時的観察。FM4−64シグナルは細胞板形成部位を示す。GFPシグナルは重ならなかった。AtNACK1ゲノムDNAのN末端コード配列にGFPコード配列を連結すると(GFP-AtNACK1 genome)、GFPシグナルのほとんどはFM4-64シグナルと重なった(未公表)。(b) 形質転換シロイヌナズナ(挿入写真)と非形質転換体の形態の比較。導入遺伝子をホモに持つ形質転換体株(#8)のT3個体は極端に矮化した。ゲノムDNAのN末端にGFPを連結すると、このような矮化は見られなかった(未公表)。


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