論文紹介

第28回論文紹介(2016.11更新)

グループ名
発生メカノセルバイオロジーグループ
著者

Yoko Matsumura, Iwai Ohbayashi, Hiro Takahashi, Shoko Kojima, Nanako Ishibashi, Sumie Keta, Ayami Nakagawa, Rika Hayashi, Julio Saéz-Vásquez, Manuel Echeverria, Munetaka Sugiyama, Kenzo Nakamura, Chiyoko Machida and Yasunori Machida

タイトル(英)
A genetic link between epigenetic repressor AS1-AS2 and a putative small subunit processome in leaf polarity establishment of Arabidopsis
タイトル(日)
シロイヌナズナの葉の極性形成におけるエピジェネティック・リプレッサーAS1-AS2複合体と小サブユニットrRNA・プロセソームと期待される複合体との遺伝的関連性
発表された専門誌
Biology Open, 5, 942-954 (2016)

シロイヌナズナの葉は、茎頂にある幹細胞から発生し、向軸側(表側)と背軸側(裏側)領域を持ち、左右相称で扁平な構造をしている(図1A)。 ASYMMETRIC LEAVES1 (AS1) とAS2 タンパク質は複合体(AS1-AS2)を形成し、このような葉の形成に関わる。これまでに我々は、AS1-AS2が葉の予定表 側領域においてETT/ ARF3ARF4遺伝子の発現を抑制することが、表側領域の分化に必須であることを示した。さらにこのような遺伝子の抑制には、クロマチン再構成因子(CAF1など)やリボソームタンパク質などをコードする50種類を越える遺伝子(modifierと呼ぶ)がAS1-AS2と協調的に働いている(図1B)。 また、AS1-AS2は核小体周辺領域でスぺックル(AS2 body)を形成する(図1A)。以上の結果を含めて、我々はAS1-AS2は遺伝子発現のエピジェネティックな抑制因子であると提唱している。しかし、AS1-AS2とmodifierによる協調的な発現抑制の分子機構については未解明である。

図1:AS1-AS2とmodifiersタンパク質による裏側化遺伝子の抑制が葉の表・裏文化に重要であるが、抑制の分子機構は不明である。

今回我々は、新たなmodifierとして、核小体に局在する複数のタンパク質(RNAヘリカーゼ、ヌクレオリン、rRNAメチル基転移酵素)の遺伝子を同定した(図2A)。これらの変異体は、核小体の様々な異常を誘発した。またこれらのタンパク質の酵母と動物細胞ホモログは Small Subunit Processome (SSUP) と呼ばれる巨大なタンパク質・RNA複合体と構造的・機能的に関連している。シロイヌナズナでもSSUPは機能していると推察される。我々は、SSUP を含む核小体及びその周辺領域の構造がETTのエピジェネティックな発現抑制に重要であり、AS1-AS2がETTをそのような核小体領域にリクルートすると考察した(図2B)。

図2:結果のまとめとAS1-AS2によるETT遺伝子の核小体周辺領域へのリクルートと発現抑制モデル


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