論文紹介

第28回論文紹介(2016.11更新)

グループ名
発生メカノセルバイオロジーグループ
著者

Takamasa Suzuki, Chiyuki Matsushima, Shingo Nishimura, Tetsuya Higashiyama, Michiko Sasabe, Yasunori Machida

タイトル(英)
Identification of Phosphoinositide-binding Protein PATELLIN2 as a Substrate of Arabidopsis MPK4 MAP Kinase during Septum Formation in Cytokinesis
タイトル(日)
シロイヌナズナの細胞質分裂における隔壁形成にかかわるMAPキナーゼMPK4の基質としてホスホイノシチド結合タンパク質パテリン2を同定した
発表された専門誌
Plant Cell Physiol. 57(8), 1744-1755 (2016)

植物の細胞質分裂では、細胞板と呼ばれる隔壁(細胞壁と細胞膜)が微小管を主成分とする細胞質分裂装置(フラグモプラスト)の中で形成されることにより起こる。我々はこれまでに、図1に示すように、タバコとシロイヌナズナを用いて、キネシン様タンパク質 NACK1とMAPキナーゼカスケードから成るNACK-PQR経路が、植物の細胞板形成の中心的な正の制御系であることを明らかにし、その基質の1つは微小管結合タンパク質であるMAP65であることを同定している。一方1種類のMAPキナーゼが様々なタンパク質を基質としていることから、我々は細胞質分裂に働くMAPキナーゼの下流にもMAP65以外の基質タンパク質が存在すると考えた。

図1:タバコとシロイヌナズナにおけるNACK-PQR経路による細胞質分裂(細胞板形成)

本論文では、野生型シロイヌナズナとこの経路で機能しているシロイヌナズナのMAPキナーゼMPK4の変異体を用いて、2-dimensional difference gel electrophoresis法により全リン酸化タンパク質の量的変動を解析した。その結果、 mpk4変異体においてSEC14ドメインを保持するPATELLIN2 (PATL2) タンパク質の量が変化していることがわかった。さらに、in vitroでMPK4はPATL2の特定のセリン残基をリン酸化した。PATL2は細胞板形成部位に局在した(図2)。また、PATL2はホスホイノシチドリン酸(PIPs)に結合し、リン酸化されるとPIPs分子種に対する親和性を変化させた。MPK4によるPATL2のリン酸化は、PATL2のPIPsに対する 結合力を変化させ、細胞膜の新生に関わる可能性があると考察した。

図2:蛍光タンパク質を用いたPATL2の細胞内局在の解析

(A-B)図示した蛍光タンパク質とPATL2のcDNAを連結したキメラ遺伝子をシロイヌナズナに導入し、根の表皮細胞におけるGFPシグナルを解析した。BはパネルAのカッコの領域の拡大図である。(C)mRFP-PATL2をタバコBY−2培養細胞に導入し、mRFP蛍光を観察した(赤)。DAPI(青)とtubulin抗体(緑)による観察像も示す。フラグモプラストの赤道面にmRFPの蛍光が見える。これらの結果はPATL2が細胞板形成部位に存在することを示す。


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