論文紹介

第28回論文紹介(2016.11更新)

グループ名
動物器官機能学グループ
著者

竹内未紀、山口信悟、榊原考将、林拓人、松田光司、原雄一郎、種子島千春、清水貴史、工樂樹洋、日比正彦

タイトル(英)
Gene expression profiling of granule cells and Purkinje cells in the zebrafish cerebellum
タイトル(日)
ゼブラフィッシュ小脳における顆粒細胞・プルキンエ細胞の遺伝子発現プロファイリング
発表された専門誌
Journal of Comparative Neurology doi:10.1002/cne.24114

小脳は運動の制御や学習の制御に関わり、その神経回路は魚類から哺乳類まで保存されている。小脳では、顆粒細胞とプルキンエ細胞に対して苔状線維と登上線維からの情報が入力し、2つの情報がプルキンエ細胞で統合され、投射神経により出力される。本研究では、小脳ニューロン形態形成の分子基盤を明らかにするために、遺伝子プロファイリング解析を行った。小脳神経回路を構成する顆粒細胞、プルキンエ細胞、投射神経、下オリーブ核ニューロン、Bergmannグリア細胞にGal4あるいは蛍光タンパク質を発現するトランスジェニックゼブラフィッシュを用いて、各々の細胞系列をFACSにより単離し、RNA sequencingを行った。この結果をもとに、細胞系列間で遺伝子発現量を比較検討し、各々の細胞特異的に発現する遺伝子を同定した。顆粒細胞に高く発現する遺伝子群について性質を調べると、細胞の発生に関わるものが多く、プルキンエ細胞においては、神経細胞の機能に関わる遺伝子が多く存在していた。また、顆粒細胞やプルキンエ細胞に特異的に発現する遺伝子のうち、いくつかで小脳類似の細胞・回路を持つ小脳様構造にも発現していたことから、小脳様構造においても共通の分子機構があることを示唆した。本論文の結果は、ゼブラフィッシュにおける小脳神経回路の発生や機能、さらに脊椎動物の小脳神経回路の進化を理解する上で有用な情報になると考えられる。

図1:小脳ニューロンの遺伝子プロファイリング解析

小脳神経回路に蛍光タンパク質を発現するトランスジェニックゼブラフィッシュ(A,B)を用いて、FACSにより各々の系列の細胞を単離した。細胞からRNAを抽出し、RNA sequencingを行い、顆粒細胞・プルキンエ細胞に特異的に発現する遺伝子を同定した。同定した遺伝子についてin situ hybridizationにより発現解析を行った。(C-F)顆粒細胞、(G-J)プルキンエ細胞特異的に発現する遺伝子群の発現を示した。


pagetop