論文紹介

第28回論文紹介(2016.11更新)

グループ名
超分子機能学講座超分子構造学研究グループ(分子生物第三/構造生物学研究センター)
著者

Eiji Usukura, Akihiro Narita, Akira Yagi, Shuichi Ito & Jiro Usukura


タイトル(英)
An Unroofing Method to Observe the Cytoskeleton Directly at Molecular Resolution Using Atomic Force Microscopy.
タイトル(日)
原子間力顕微鏡観察による細胞骨格分子分解能直接観察のための膜剥離法

発表された専門誌
Scientific reports 27472, 2016


膜剥離法とは、ごく弱い超音波で細胞膜の一部を破壊し、基盤に結合した細胞膜と、そこに結合した生体分子を溶液中に露出する手法である。従来電子顕微鏡観察に用いられてきたが、電子顕微鏡で観察するには、膜剥離試料に対し凍結、エッチング、白金蒸着を行う必要がある。
本研究では、試料を溶液中で観察することができる原子間力顕微鏡とこの膜剥離法を組み合わせることにより、細胞膜上の構造を観察した。
細胞膜上のアクチン線維、カベオラ、クラスリンコートなどがはっきりと観察された。
アクチン線維像においては、アクチンの分子間隔に相当する5.5 nmの縞模様がはっきりと観察され、その模様の非対称性から線維の極性も決定できた(図1)。クラスリンコート像においては、クラスリンコートを形成するαヘリックスに由来する構造が観察された(図2)。カベオラの構造、微小管と思われる太さの線維も観察できた。フリーズエッチングレプリカと同等かそれ以上の像質が得られ、試料作成も容易であり、今後この手法は細胞生物学の新しい武器となるだろう。

図1:

図2:

A:クラスリンコート拡大像。B:クラスリンがつくるケージの分子構造モデル。ケージはαヘリックスがからみあってできているが、Aでもそのαヘリックスのからみあいに由来する構造が観察できる。


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