論文紹介

第28回論文紹介(2016.11更新)

グループ名
生体応答論グループ
著者

ストラヒル パストゥホフ、藤木恒太、柘植杏菜、浅井一真、石川翔、廣瀬和也、松本邦弘、久本直毅

タイトル(英)
The core molecular machinery used for engulfment of apoptotic cells regulates the JNK pathway mediating axon regeneration in Caenorhabditis elegans.
タイトル(日)
アポトーシス細胞の貪食に使われる核心的分子機構がJNK経路を介してC.エレガンスの軸索再生を制御する
発表された専門誌
The Journal of Neuroscience36: 9710-9721 (2016).

神経軸索の再生機構は無脊椎動物からヒトまで種を越えて保存されている。線虫C. elegansでは、神経軸索再生の開始はJNK MAPK経路によって正に制御されていることが以前の我々による解析から明らかになっている。本研究では、神経軸索再生においてこのJNK経路の上流で機能する因子として、Ste20 関連プロテインキナーゼ MAX-2 と Rac タイプ GTPaseである CED-10 の2つを同定した。MAX-2はJNK経路においてMAP3Kの上流のキナーゼとして機能している。一方GTP結合型のCED-10はこれに結合して、MAX-2上流の制御因子として機能していた。次にCED-10の上流で神経軸索再生を制御する因子として、CED-2/CED-5/CED-12からなるRacGEF複合体を同定した。さらにこのRacGEF複合体は、非受容体型チロシンキナーゼSRC-1を介してインテグリンホモログINA-1に結合することにより、神経軸索再生を制御していた。このインテグリンからCED-10までのシグナル伝達経路は、死細胞の貪食制御経路としても機能することが知られている。以上のことから、神経軸索切断では死細胞で生じるシグナルと同様のシグナルが生じており、それを軸索切断神経が認識することにより神経軸索再生機構が活性化している可能性が示唆された。

図1:今回の研究で明らかになった、死細胞認識経路と神経軸索再生経路で共通したシグナル伝達経路


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