論文紹介

第29回論文紹介(2017.6更新)

グループ名
超分子構造学研究グループ(構造生物学研究センター)
著者

Masaki Makihara, Takashi Watanabe, Eiji Usukura, Kozo Kaibuchi, Akihiro Narita, Nobuo Tanaka and Jiro Usukura

タイトル(英)
A new approach for the direct visualization of the membrane cytoskeleton in cryo-electron microscopy: a comparative study with freeze-etching electron microscopy.
タイトル(日)
膜細胞骨格可視化のための、クライオ電子顕微鏡法を用いた新しいアプローチ: フリーズエッチング法との比較
発表された専門誌
Microscopy 65, 488-498, 2016

クライオ電子顕微鏡法の進展に伴い、精製蛋白質の構造解析においては近原子分解能構造が得られるようになった反面、依然として細胞内構造の高分解能構造解析は難しい。本研究では、シャーレ上の培養細胞の上にアルシアンブルー処理した電子顕微鏡用グリッドをかぶせ、グリッドに細胞膜を結合させた。グリッドをゆっくり持ち上げることによって、細胞上面の細胞膜とそこに結合した構造を細胞から引きはがし、これをクライオ電子顕微鏡観察した(図1、膜剥離法)。この試料には細胞質が存在しないため、従来の凍結細胞切片をクライオ電子顕微鏡観察する手法に比べて非常にコントラストが高く、細胞膜上のアクチン線維の構造や、微小管の周期構造が可視化された(図2)。同様の試料を従来法(フリーズエッチング法)で観察すると、微小管が細かく寸断されて見えることが多く、これは、フリーズエッチング法で用いられるグルタールアルデヒド固定の影響だと考えられる。一方、クライオ法で観察すると、ゆるやかにカーブする長い微小管が観察された。また、従来法では観察されなかった滑面小胞体も可視化された。膜剥離法とクライオ法の組み合わせは、細胞膜上構造を変形なしで観察する有力なツールである。

図1:膜剥離法の概略

図2:膜剥離法とクライオ法の組み合わせによって得られた電子顕微鏡写真。SERは滑面小胞体。矢印は微小管。(a)はアクチン線維の拡大図。(b)は微小管の拡大図。(b)左側は微小管のフーリエパターン。微小管内チューブリン周期に相当する4 nmの周期が見える。


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