論文紹介

第29回論文紹介(2017.6更新)

グループ名
生体膜機能グループ
著者

Kumar, Ananthanarayanan 、伊角 実優、佐久間 麻由子、Zhu, Shiwei、西野 優紀、尾上 靖宏、小嶋 誠司、宮ノ入 洋平、今田 勝巳、本間 道夫

タイトル(英)
Biochemical characterization of the flagellar stator-associated inner membrane protein FliL from Vibrio alginolyticus.
タイトル(日)
Vibrio alginolyticusのべん毛モーター固定子と連携して働く膜タンパク質FliLの生化学性状
発表された専門誌
J. Biochem. ・161・ 331-337 ・2017

細菌べん毛モーターは膜に埋まった固定子と回転子から構成される。海洋性細菌Vibrio alginolyticusにおいて、固定子はイオンを透過するエネルギー変換体であり、PomA及びPomBの膜タンパク質から構成される。最近、我々の研究室でV. alginolyticusの167アミノ酸からなる分子量18kDaの一回膜貫通型タンパク質であるFliL(以下VaFliLと称する)が、固定子の極局在や運動に関与することを示した。本研究では、VaFliLの大量発現系を構築し、精製を行い、構造学的および生化学的な解析を行った。全長のVaFliLは界面活性剤DDMで可溶化し、精製した。ゲル濾過では、推定分子量が約150kDaと100kDaの位置に溶出された。このゲル濾過試料を用いて条件検討を行い、結晶化には成功したが、十分な回折は得られなかった。N末端膜貫通領域を欠失させたVaFliLのペリプラズム領域断片は、濃度によってゲル濾過の溶出位置が変化することが判明した。50mg/mlの試料をゲル濾過にかけると約48kDaと36kDaの位置に溶出ピークが現れた。3mg/mlの試料の場合には、約33kDaのピークだけが出現した。高濃度で現れた2つのピークを再度ゲル濾過にかけると、両方とも約38kDaの位置に溶出された。さらに、NMR分析を行い、FliL同士が弱く相互作用して、オリゴマーを形成することを示唆した。 我々は、この弱い相互作用がべん毛モーター機能に関与していると推測している。

図1:細菌べん毛モーターの構造とFliLタンパク質

(A)V. alginolyticus 極べん毛モーターの模式図。 基部体はLP、H、T、MS、Cリングで構成されている。 固定子複合体は、回転子を取り囲む。FliL(黒塗り)が固定子を安定化している。

(B)V. alginolyticus FliLの一次構造。 TM、膜貫通領域。


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