論文紹介

第29回論文紹介(2017.6更新)

グループ名
生体膜機能グループ
著者

尾上 靖宏、吉住 玲、郷原 瑞樹、西野 優紀、小林 詩織、麻見 安雄、小嶋 誠司、本間 道夫

タイトル(英)
Domain-based biophysical characterization of the structural and thermal stability of FliG, an essential rotor component of the Na+-driven flagellar motor.
タイトル(日)
Na+駆動べん毛モーターを構成する必須ロータータンパク質FliGのドメイン構造およびその熱安定性の生物物理学的特性
発表された専門誌
Biophy. Physicobiol. ・13・227-233・2016

多くの細菌は、ラセン型のべん毛繊維をスクリューとして回転することで運動する。そのべん毛繊維の根元には、膜に埋まったモーターがあり、固定子と回転子との相互作用によってトルクを発生させる。トルク発生のための回転子の最も重要なタンパク質因子はFliGである。 FliGは、N末端(FliGN)、Middle(FliGM)、C末端(FliGC)の3つのドメインからなる。FliGCは、固定子と相互作用してエネルギー変換する部位を含む。本研究では、海洋ビブリオ(Vibrio alginolyticus)のナトリウム駆動極べん毛モーター由来の3つのFliG産物、FliGFull、FliGMC、およびFliGCの物理的性質を調べた。サイズ排除クロマトグラフィーにより、FliGが2つの異なるpH条件下でコンフォメーション状態が変化することを明らかにした。円偏光二色性分光法により、FliG中のαヘリックスの含量がこれらのpH条件下でわずかに変化することを明らかにした。さらに、示差走査熱量測定法を用いたFliGの熱安定性を調べた。その結果、FliGのN末端(FliGN)、Middle(FliGM)、C末端(FliGC)の各ドメインが独立して熱変性すると推測された。本研究では、最も重要なべん毛モーターの構成要素であるFliGの生物物理学的特性に関する基礎的な情報を提供した。

図1:細菌べん毛回転子タンパク質FliGの構造

(A)Aquifex aeolicusにおける全長FliGの結晶構造。N末端ドメイン、中間ドメイン、およびC末端ドメインは、それぞれ青色、緑色および赤色に着色されている。 G122は、Vibrio alginolyticusにおけるFliG中間ドメインの予測されるN末端残基に対応する。 G214は、V. alginolyticusにおけるFliG C末端ドメインの予測されるN末端残基に対応する。

(B)本研究で用いたFliGの3つのコンストラクト。G122-FliGMCは中間およびC末端ドメインに対応し、G214-FliGCはC末端ドメインに対応する。


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