論文紹介

第29回論文紹介(2017.6更新)

グループ名
生体機序論グループ
著者

久本 直毅、永盛 友樹、清水 達太、ストラヒル パストゥホフ、松本 邦弘

タイトル(英)
The C. elegans discoidin domain receptor DDR-2 modulates the Met-like RTK–JNK signaling pathway in axon regeneration.
タイトル(日)
C.エレガンスのディスコイディンドメイン受容体DDR-2は軸索再生においてMet様RTK-JNKシグナル経路を調節する
発表された専門誌
PLoS Genetics 12, e1006475 (2016)

切断された神経軸索の再生機構は、線虫からヒトまで種をこえて保存されている。線虫C. elegansでは、神経軸索再生は受容体型チロシンキナーゼMetの線虫ホモログSVH-2により、JNK型MAPキナーゼカスケードを介して正に制御される。今回、コラーゲンにより活性化されるディスコイディンドメイン受容体DDRの線虫ホモログSVH-4/DDR-2が、コラーゲンIVホモログEMB-9により活性化されて、軸索切断後の神経軸索再生を制御することを見出した。足場タンパク質であるSHC-1は、SVH-2とDDR-2の両方に結合する。さらに、SVH-2およびSHC-1の多量発現により、ddr-2変異体の軸索再生低下の表現型が抑圧されたことから、DDR-2はSVH-2およびSHC-1の上流で機能することが示唆された。以上の結果から、DDR-2はSHC-1を介してSVH-2-JNKシグナルカスケードを制御すると考えられる(図)。ヒトを含む哺乳動物において、コラーゲンが切断神経の再生促進に有効であることは経験的に知られているが、その分子機構についてはこれまで不明であった。今回の発見はその作用機序を解明するものであり、今後の治療手法の発展につながることが期待される。

図1:EMB-9—DDR-2によるSVH-2—JNK経路の制御機構の模式図


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