論文紹介

第29回論文紹介(2017.6更新)

グループ名
生殖分子情報学グループ
著者

木全 祐資, 桧垣 匠, 河島 友和, 栗原 大輔, 佐藤 良勝, 山田 朋美, 馳澤 盛一郎, Frederic Berger, 東山 哲也, 植田 美那子

タイトル(英)
Cytoskeleton dynamics control the first asymmetric cell division in Arabidopsis zygote
タイトル(日)
細胞骨格の動態がシロイヌナズナ受精卵の最初の不等分裂を制御する
発表された専門誌
PNAS・113 (49)・14157-14162・2016

植物の主要な体軸である頂端-基部軸は受精卵の不等分裂によって確立される。モデル植物のシロイヌナズナでは、受精卵は不等分裂する前に、顕著な細胞伸長とともに核が頂端方向に移動するという極性化を経る。このことから、受精卵の極性化が不等分裂の原動力だといえるが、受精卵は花の奥深くに位置するために、これまで極性化の過程を生きたまま観察することはできていなかった。そのため、受精卵が極性化する際の細胞内の時空間的な動態は不明であった。本論文では、二光子励起顕微鏡を用いて、受精卵の細胞内構造をライブイメージングする系を確立したことで、微小管やアクチン繊維といった細胞骨格の動態の観察に成功した。また、定量画像解析や、細胞骨格の特異的阻害剤を用いた解析を組み合わせることで、受精卵が極性化する際の細胞骨格の詳細な動態と役割を見出した(図1)。まず、微小管とアクチン繊維のどちらにおいても、卵細胞で構築された配向が受精後に崩壊する。さらに、微小管は受精卵の頂端付近にリング状構造を形成して、受精卵の頂端方向への細胞伸長を促進する一方で、アクチン繊維は頂端-基部軸に沿って配向し、頂端方向への核の移動を制御する(図2)。これらの発見は、植物の受精卵が極性化する際の細胞内動態について、初めての知見を与えるものとなった。

図1:受精卵が極性化する際の細胞骨格の動態

図2:受精卵が極性化する際の細胞骨格の役割


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