論文紹介

第30回論文紹介(2017.10更新)

グループ名
超分子構造学グループ(分子生物第三)/生殖分子情報学グループ
著者

小山 昌子、佐々木 妙子、佐々木 成江、松浦 能行

タイトル(英)
Crystal structure of human WBSCR16, an RCC1-like protein in mitochondria
タイトル(日)
ヒトのミトコンドリアに局在するRCC1様タンパク質WBSCR16の結晶構造
発表された専門誌
Protein Science, 26: 1870-1877 (2017)

Williams-Beuren症候群は神経発達障害の一種であり、7番染色体長腕に存在する複数(約20個)の遺伝子の欠失が原因で発症する。WBSCR16遺伝子はWilliams-Beuren症候群の多くの患者で欠失している染色体領域の末端付近にある。ゲノム解析から、WBSCR16遺伝子の欠失はWilliams-Beuren症候群の発症に必須ではないが、WBSCR16遺伝子の欠失により症状が悪化することが示唆されている。WBSCR16遺伝子がコードするWBSCR16(Williams-Beuren syndrome chromosomal region 16 protein; 別名RCC1L)は、アミノ酸配列がRCC1様リピートモチーフをもつタンパク質である。WBSCR16の機能は長らく不明であったが、最近、WBSCR16がミトコンドリア内部のタンパク質合成の制御因子であることや、WBSCR16がOPA1(ミトコンドリア内膜の融合やクリステの構造形成に関わるダイナミン様GTPase)のGEF (guanine nucleotide exchange factor)として機能することが明らかになってきた。本研究で我々は、WBSCR16がヒトのミトコンドリアに局在することを示し、さらに、WBSCR16の結晶構造を2.0Å分解能で解いた。アミノ酸配列から予想されたように、WBSCR16はRCC1と同じフォールディング様式(βプロペラ構造)を持っている。しかし、WBSCR16の分子表面は、これまでに構造が解かれたRCC1や他のRCC1様タンパク質のいずれとも大きく異なる構造的特徴を持っており、いかにもWBSCR16に固有の機能が存在するように思われる。この結晶構造は今後、WBSCR16の構造機能相関を詳細に解き明かしていくための基盤となるものである。

図1:ヒトWBSCR16の結晶構造


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