論文紹介

第30回論文紹介(2017.10更新)

グループ名
形態発生学グループ
著者

松原 由幸、平沢 達矢、江川 史朗、服部 亜由美、菅沼 貴也、小原 裕平、永井 達也、田村 宏治、倉谷 滋、黒岩 厚*、鈴木 孝幸*(*equal contribution)


タイトル(英)
Anatomical integration of the sacral-hindlimb unit coordinated by GDF11 underlies variation in hindlimb positioning in tetrapods
タイトル(日)
GDF11による仙椎―後肢ユニットの協調的発生機構と後肢の位置の多様性が生み出される仕組み

Nature Ecology and Evolution, 1, 1392-1399, 2017, DOI: 10.1038/s41559-017-0247-y


私たちヒトを含む四肢動物の体の中心には背骨があり、形の違いで頭に近い方から頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎と呼ばれています。私たちの後ろ足は骨盤を介して仙椎に接続しています。骨格パターンの進化過程を見てみると(図1)、現世動物だけでなく既に絶滅してしまった恐竜や首長竜、ヘビの祖先に至るまで、あらゆる生物種において後ろ足は仙椎に接続していることが分かります。このように、仙椎の場所に後ろ足が形成されるメカニズムは進化の過程で非常に良く保存されている一方で、体の前後軸に沿った仙椎と後ろ足の位置は種によって異なり多様性に富んでいます。本研究では、胎児期にGDF11と呼ばれるタンパク質が働き始めた場所が将来の仙椎になり、隣接する組織にも働きかけて仙椎の位置に後ろ足と骨盤を同調させてつくることを発見しました(図2)。さらに、後ろ足の位置の異なる動物8種におけるGDF11の作用メカニズムを調べた結果、後ろ足の位置が頭から遠い種(エミューやシマヘビなど)ほど、Gdf11の発現開始タイミングが遅いことが分かりました。この結果は、四肢動物の進化過程において胎児期におけるGdf11の発現開始タイミングの時間的な違いにより、体の前後軸に沿って形成される仙椎-後肢の種間の位置の違いが生み出されたことを示しています。特にヘビでは、Gdf11の発現開始タイミングが極めて遅いために長い胴体を持つことが分かりました。

図1:

図2:


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