論文紹介

第30回論文紹介(2017.10更新)

グループ名
遺伝子解析学グループ(遺伝子実験施設)
著者

内山 博道、一瀬 瑞穂、杉田 護

タイトル(英)
Chloroplast ribonucleoprotein-like proteins of the moss Physcomitrella patens are not involved in RNA stability and RNA editing (Brief communications)
タイトル(日)
ヒメツリガネゴケの葉緑体リボヌクレオプロテイン
発表された専門誌
Photosynthetica in press (2018). https://doi.org/10.1007/s11099-017-0755-7

葉緑体にRNA recognition motif (RRM)を持つ多様なタンパク質が存在するが、その多くは機能不明である(図1)。私たちはコケ植物の葉緑体に、少なくとも18種25個のRRMタンパク質が存在することを明らかにした(図2)。これらはRRMが1個〜4個持つものに大別され、このうちRRMを2個もつ葉緑体リボヌクレオプロテインcpRNPと相同なPpRBP2aとPpRBP2bの機能を明らかにする目的で、逆遺伝学を用いた解析を行った。その結果、予想に反してシロイヌナズナのcpRNPとは異なり、葉緑体mRNAの安定性やRNA編集に関わっているという観察結果は得られなかった。シロイヌナズナには10種のcpRNPがあるのに対して、ヒメツリガネゴケは2種のcpRNP-likeが存在するに過ぎない。このことは、陸上植物の進化の過程でcpRNP遺伝子の重複が起こり、それぞれの遺伝子の働きに多様性が生じたことを示唆している。ヒメツリガネゴケのcpRNP-likeの機能を明らかにすることは、葉緑体の遺伝子発現の制御機構の成り立ちと進化を解明する上で重要であり、今後さらなる解析が必要である。

図1:

図2:


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