論文紹介

第30回論文紹介(2017.10更新)

グループ名
動物器官機能学グループ
著者

竹内 未紀、井上 慎子、五島 明子、長尾 勇佑、清水 宏一、宮本 大輝、清水 貴史、橋本 寿史、米村 重信、川原 敦雄、平田 豊、吉田 将之、日比 正彦

タイトル(英)
Medaka and zebrafish contactin1 mutants as a model for understanding neural circuits for motor coordination
タイトル(日)
メダカとゼブラフィッシュcontactin1b変異体は運動協調性を制御する神経回路の理解のための良いモデルを提供する
発表された専門誌
Genes to Cells 22(8): 723-741, 2017

メダカroは、遊泳中にふらつき、回転する運動異常を示す突然変異体である。ポジショナルクローニングにより、ro遺伝子座は免疫グロブリンスーパーファミリータンパク質Contactin1b(Cntn1b)をコードすると予想された。そこで、CRISPR/Cas9法によりメダカcntn1b変異体を作製した。cntn1b変異体およびcntn1broのトランスヘテロ変異体はroと同様の遊泳異常を示したことから、roの責任遺伝子はcntn1bと同定した。また、TALEN法によりゼブラフィッシュcntn1ファミリー遺伝子変異体を作製した。cntn1a変異体では異常は見られないが、cntn1b変異体において遊泳異常が観察された。このことから、Cntn1bは、真骨魚類において、遊泳運動に関して保存された役割をもつことが示された。Cntn1ノックアウトマウスは小脳神経回路に異常を示すが、メダカ・ゼブラフィッシュcntn1b変異体においては小脳回路の形態異常は見出せなかった。しかし、メダカro変異体では、視運動性反応(OKR)の学習が低下し、水流に対する走性が不安定であった。これらの結果は、Cntn1bが小脳神経回路を含む運動協調に関わる神経回路形成に関与することを示唆しており、メダカ・ゼブラフィッシュcntn1b変異体は運動学習や運動制御について理解する良いモデルと考えられる。

図1:Cntn1bは走流性に必要である

(A) メダカは水流に逆らって泳ぐ性質をもつ。水流に対する遊泳行動をビデオ撮影し、頭部のy軸方向の動きをプロットして数値化し、x軸を時間としてグラフとして示した(右下)。
(B) y軸の値について、Lab Chart softwareを用いて、low-frequency (1-4 Hz, body displacement: 体の移動を表す)とhigh- frequency (4-20 Hz, head yawing: 頭部のブレを表す)の動きとして分離し、二乗平均平方根(RMS)を計算した。野生型(WT)に対して変異体(ro)では値が上昇した結果から、cntn1b変異体の遊泳が不安定であることが示された。


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