論文紹介

第30回論文紹介(2017.10更新)

グループ名
海洋発生生化学グループ
著者

Tadahiko Seo, Taketo Sakon, Shiori Nakazawa, Asuka Nishioka, Kohei Watanabe, Kaori Matsumoto, Mari Akasaka, Narumi Shioi, Hitoshi Sawada and Satohiko Araki

タイトル(英)
Haemorrhagic snake venom metalloproteases and human ADAMs cleave LRP5/6, which disrupts cell–cell adhesions in vitro and induces haemorrhage in vivo.
タイトル(日)
LRP5/6は出血性ヘビ毒メタロプロテーゼとヒトADAMにより切断され、出血や細胞間接着の乖離を引き起こす。
発表された専門誌
The FEBS Journal・284・1657-1671・2017

ADAMファミリーに属しているヘビ毒メタロプロテーゼ (SVMP) は出血を引き起こすが、その標的分子は不明であった。
本研究ではSVMPである出血因子VAP1の標的分子を同定した。VAP1 は細胞間接着を崩壊させる際に、VEカドヘリンを分解せずに、VEカドヘリンとγカテニンを細胞間から細胞質に移行させた。カテニンを移行させる分子として、Wnt受容体であるLRP5とLRP6が知られており、また、これは限定分解によりWntシグナルを常時活性化することが予想されていた。そこで、私たちはVAP1がLRP5/6を切断するかどうか調べた。その結果、私たちはVAP1がLRP5/6を、常時活性化すると考えられる箇所で切断することを明らかにした。また、組み換えヒトADAM8, ADAM12もLRP6を同じ箇所で切断した。LRP6の切断を阻害する抗体はVAP1による細胞間接着の崩壊とマウスにおける出血を阻害した。興味深いことに、ヘビ毒による出血に耐性を持つ動物は、LRP5/6のVAP1による切断部位や常時活性化に関わる部位に置換や欠失を持っていた。
これらの結果はLRP5/6がADAMの生理的な標的であることを示唆している。さらに、SVMPによるLRP5/6の切断が細胞間接着の崩壊や出血を引き起こすことが示唆され、ヘビ咬傷の治療への新たな道を開くことが期待される。

図1:さまざまなアクチン類似蛋白質線維構造(青とオレンジ)と微小管類似蛋白質線維構造(赤と黄色)


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