論文紹介

第30回論文紹介(2017.10更新)

グループ名
生殖分子情報学グループ/共同研究グループ名:名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所
著者

佐々木 妙子、佐藤 良勝、東山 哲也、佐々木 成江

タイトル(英)
Live imaging reveals the dynamics and regulation of mitochondrial nucleoids during the cell cycle in Fucci2-HeLa cells
タイトル(日)
Fucci2-HeLa細胞のライブイメージングによって明かされる細胞周期におけるミトコンドリア核様体の動態と制御
発表された専門誌
Scientific Reports, 7:11257 (2017)

ミトコンドリアは、細胞内でエネルギーをつくる小器官であり、独自のDNA(ミトコンドリアDNA; mtDNA)を持っている。生体内でmtDNAはタンパク質とともに折りたたまれミトコンドリア核様体(核様体)と呼ばれる構造体をとっており、核様体の数が正常に維持できなくなると、ミトコンドリアでエネルギーが作られなくなり、重大な疾患につながる。しかし、ヒトの核様体は非常に小さく観察が困難だったため、細胞内で核様体の数がどのように維持されているのかという基本的な仕組みがわかっていなかった。本研究では、高感度でDNAを検出できる蛍光色素SYBR Green Iを用いて、mtDNAを選択的に染色する方法を開発し、さらに核の色で細胞周期を判別できる細胞(Fucci2-HeLa細胞)を用いることで、生きた細胞で細胞周期における核様体を解析することに初めて成功した。その結果、核様体の数はS期に顕著に増加し、その時期にmtDNA複製も活発になること、核様体数の増加には、mtDNA複製が必要であることを明らかにした(図1)。さらに、核様体が頻繁に接着や解離する様子を捉えることに成功し、この動態制御も核様体数の維持に重要であることを明らかにした(図2)。これらの発見は、mtDNAの維持の基本原理に迫るものであり、将来的にmtDNAの減少に起因する疾患の発生機序の解明につながることが期待される。

図1:細胞周期における核様体数とmtDNA複製の制御

(A) 細胞周期における核様体の観察方法の確立
(B) 細胞周期の様々な時期の核様体数
(C) 細胞周期におけるmtDNA複製の様子
(D) mtDNA複製を停止させたときの核様体数の変化

図2:核様体の動態解析

(A) 核様体(矢じり)が接着したり解離したりする様子
(B) TFAMが減少した際の核様体の変化


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