論文紹介

第31回論文紹介(2018.6更新)

グループ名
遺伝子解析学グループ(遺伝子実験施設)
著者

伊藤 綾花、杉田 千恵子、一瀬 瑞穂、加藤 義宣、山本 宏、鹿内 利治、杉田 護

タイトル(英)
An evolutionarily conserved P-subfamily pentatricopeptide repeat protein is required to splice the plastid ndhA transcript in the moss Physcomitrella patens and Arabidopsis thaliana.
タイトル(日)
葉緑体のndhA pre-mRNAのスプライシングに働く進化的に保存されたPサブファミリーのペンタトリコペプチドリピート(PPR)タンパク質
発表された専門誌
The Plant Journal 94 (4), 638-648 (2018)

光合成を行う葉緑体は独自の環状ゲノムDNAと100種ほどの遺伝子をもっている。多くの葉緑体遺伝子はポリシストロニックに転写され、一本の長い前駆体RNAがつくられる。前駆体RNAは複雑なプロセスをへて成熟RNAになるが、この過程に核コードのPPRタンパク質が働いていることが知られている。しかし、数百もあるPPRタンパク質のうち、作用する標的RNA分子やその働きが解明されたものはわずかにすぎない。本論文では、葉緑体に局在するPPR66の機能解明を行った(図1A)。ヒメツリガネゴケのPPR66遺伝子破壊(KO)株の原糸体の生長と光合成能が野生株のものと同程度であったのに対して、葉緑体NDH活性とNDH複合体が消失もしくは顕著に減少していた。そこで、葉緑体ndh遺伝子の発現レベルを調べた結果、KO株ではndhA mRNAが顕著に減少し、逆にイントロンを含むndhA pre-mRNAが異常に蓄積していることを見いだした(図1B)。このことは、PPR66がndhAイントロンのスプライシングに働くことを示している。同様に、シロイヌナズナのPPR66もndhAイントロンのスプライシングに働くことも明らかにした。さらに、PPR66がイントロンの5’末端領域に結合することを明らかにした(図1C)。以上のことから、PPR66はndhAイントロンに特異的に働くスプライシング因子であると結論した。

図1:


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