論文紹介

第32回論文紹介(2018.10更新)

グループ名
超分子構造学研究グループ(構造生物学研究センター)
著者

Mizuno, H., Tanaka, K., Yamashiro, S., Narita, A. & Watanabe, N.

タイトル(英)
Helical rotation of the diaphanous-related formin mDia1 generates actin filaments resistant to cofilin
タイトル(日)
フォルミンによるアクチン線維回転がコフィリンによる線維切断を阻害する
発表された専門誌
Proc Natl Acad Sci U S A, 115, E5000-E5007, 2018年

フォルミンはアクチン線維重合端(B端)に結合し、細胞内でアクチン重合を促進する。フォルミンを基板上に固定してアクチン重合を行うと、アクチン線維は線維軸周りに回転することがわかっている。この回転方向は、アクチン線維のらせん周期が延びる方向である。一方でアクチン線維を切断するコフィリンが線維に結合すると、アクチン線維のらせん周期が短縮することが知られている。

フォルミンを介したアクチン重合と、コフィリンによるアクチン切断の関係を調べるため、ガラス基板上にフォルミンとアクチン線維P端側を固定してアクチン重合を行ったところ、アクチン線維に大きな曲がりが無い状態ではコフィリンによるアクチン線維切断が阻害された。また、電子顕微鏡を用いて同状態を観察したところ、P端側を固定した場合(図A)、固定していない場合(図B)に比べてアクチンのらせん周期が有意に長くなっていた(図C)。さらに、常に活性化状態にあり、細胞膜構造に結合している比率が高いフォルミン変異体を細胞内で発現すると、通常のフォルミンに比べてアクチン線維へのコフィリンの結合が減少した。

以上のことから、フォルミンによるアクチン重合がもたらすアクチン線維の回転は、アクチン線維の構造を変化させ、コフィリンによるアクチン切断を阻害すること、その効果は実際に細胞内でも存在することが明らかになった。

図1:


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