論文紹介

第32回論文紹介(2018.10更新)

グループ名
超分子構造学研究グループ(構造生物学研究センター)
著者

菊本 真人、大澤 文夫

タイトル(英)
Thermodynamic measurements of actin polymerization with various cation species
タイトル(日)
種々の重合イオンに依るアクチン重合の熱力学測定
発表された専門誌
Cytoskeleton (Hoboken) 74, 465-471, 2017

生体分子の物理化学測定は、細胞内制御の限界を知ることに繋がります。細胞骨格蛋白質のアクチンは、その重合平衡にGibbsの熱力学の二相平衡を適用できる生体高分子電解質です。この研究では、結合二価イオンと重合イオンを変えて重合させた、アクチンの臨界濃度をピレン蛍光で測定して、アクチン重合平衡の熱力学量を見積もりました。一部を除いて、アクチン重合平衡のエントロピー変化ΔSは36−55(cal/mol·K)、エンタルピー変化ΔHは2-8(kcal/mol)でした(図1)。Ca2+アクチンの熱力学量は、重合イオンのK+/Na+に感受性があり、ΔSは39/36、ΔHは3.9/2.7とNa+重合アクチンが小さくなりました。Mg2+アクチンのΔSとΔHも同様にMg2+ (55,7.6) > K+ (46,5.3) > Na+ (38,2.4)の順番で重合イオンに感受性がありました。臨界濃度の温度依存性が大きい重合イオンのFアクチンは、より大きくなりました。ところがMg2+重合のMg2+アクチンの熱力学量は、K+の高濃度存在下(0.1M)では大幅に減少して、ΔSはゼロ近くに(0.2)、ΔHは負の値(-8.8)になりました。これはKイオンの静電遮蔽効果に依ると考えられました。今後研究が進めば、熱力学量変化の原因がアクチンの残基の配列や向き等どこに起因するか明らかになってくると思われます(図2)。

図1:

図2:


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