論文紹介

第32回論文紹介(2018.10更新)

グループ名
生体膜機能グループ
著者

Lin, TS、Zhu, S、小嶋 誠司、本間 道夫、Lo, CJ

タイトル(英)
FliL association with flagellar stator in the sodium-driven Vibrio motor characterized by the fluorescent microscopy
タイトル(日)
ビブリオ菌Na+駆動べん毛モーターの固定子と相互作用するFliLの蛍光タンパク質融合体を用いた解析
発表された専門誌
Sci. Rep. ・24;8(1):11172・ 2018
doi: 10.1038/s41598-018-29447-x

細菌のべん毛モーターは、イオン流のエネルギーを変換してトルク発生を行う巨大タンパク質超分子複合体である。FliLは、べん毛モーター運動の制御に関わる一回膜貫通タンパク質である。我々は、べん毛モーター固定子ユニットと相互作用すると考えられているビブリオ菌(V. alginolyticus)の極べん毛モーターに作用するFliL機能を、生化学的および生物物理学的な手法を用いて解析した。変異導入することで、FliLの細胞外ペリプラズム領域が、その極局在化に重要な役割を担っていることを示した。また、固定子ユニットのイオン流入を調節する部位と考えられるプラグ領域の突然変異が、FliLの極局在化に影響を与えることを示すことができた。このことは、固定子ユニットの活性化にFliLが関与していることを示唆している。蛍光標識したFliLの光退色実験によって分子数を推測すると、機能しているモーターにおいては、固定子ユニットとFliLタンパク質の化学量論比が1:1であると推定された。さらに、FliLがない場合、固定子ユニットのべん毛モーターへの入れ替わり時間は、わずかに増加した。膜上でのタンパク質動態を詳細に調べることにより、固定子ユニットとFliLの拡散運動が独立して起こっていることが分かった。FliL単独の拡散速度は、単分子として挙動すると考えるには遅過ぎることから、大きな複合体形成をしていると推測された。今回の我々の結果は、FliLがべん毛固定子の機能を補助していることを裏付け、FliL の機能解明につながると期待される。

図:

固定子のペリプラズム領域のプラグ領域とFliL極局在化(A)プラスミドの模式図。 eGFP、FliLおよびPomA領域は、点線で標識されている(実際の長さは反映していない)。 PomBは灰色の線で示され、細胞外領域(a.a. 44-58)のインフレーム欠失は破線で示されている。(B)異なるプラスミドを有するZSW2株の運動能。 ベクタープラスミド、pomABおよびGFP非融合fliLの両方をコードするpZSW7、GFP融合fliLとPomAB遺伝子を持つpZSW81シリーズのプラスミドを、ΔfliL ΔpomAB3重遺伝子欠損株であるZSW2に導入した。 各株の一晩培養物を、0.02%アラビノースおよび2.5μg/ mLクロラムフェニコールを含有する軟寒天プレート上にスポットし、30℃で6時間インキュベートした。 (C)ZSW2細胞の代表的な蛍光顕微鏡画像の観察。PomA・PomB固定子(pZSW81)またはPomA・プラグ欠損PomB固定子(pZSW81-B1)の存在下でeGFP-FliLを発現した。 スケールバー=2μm。


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