論文紹介

第32回論文紹介(2018.10更新)

グループ名
生体膜機能グループ
著者

近藤 翔太、伊村 芳野、水野 彬、本間 道夫、小嶋 誠司

タイトル(英)
Biochemical analysis of GTPase FlhF which controls the number and position of flagellar formation in marine Vibrio
タイトル(日)
海洋性ビブリオ菌極べん毛の本数と形成位置を制御するGTPase, FlhFの生化学的解析
発表された専門誌
Scientific Reports (2018) 8:12115.
doi: 10.1038/s41598-018-30531-5

FlhFはビブリオ菌の極べん毛の数および位置を制御し、細菌のSec膜輸送系ではたらくGTPaseであるFtsYのパラログで、細胞極に局在する。FlhFは大腸菌内で過剰発現すると封入体を形成するため、精製できていなかった。今回我々は、細胞破砕の段階でMgCl2とGTPまたはGDPを添加すると可溶性FlhFの収量が向上することを見出し、精製に成功した。精製したFlhFは、FlhGの存在下でのみGTPase活性を示した。FlhF機能を欠損した12種のGTPaseモチーフ突然変異体のうち11種は封入体を形成したが、E440K変異体は精製でき、FlhGの存在下でもGTPase活性を示さなかった。興味深いことに触媒残基への変異R334AによりFlhFのGTPase活性は失われたが、極べん毛形成は正常であった。ゲルろ過による解析から、精製したFlhFはGTPの存在下で二量体を形成するが、GDPの存在下では単量体として存在することが分かった。GTPを結合するとFlhFは二量体化しべん毛を形成する極に局在する一方で、GDP結合型は単量体として細胞質に拡散すると推測している。

図:FlhFの生化学的性状とべん毛本数制御機能

(A) 海洋性ビブリオ菌の野生型は極に1本だけべん毛を持ち、その位置はFlhFによって決定される。極べん毛の本数は、極におけるFlhFの量によって制御される。

(B) (左):本研究でアフィニティー精製したFlhFのSDS-PAGEゲル染色像(矢頭がFlhF)。(右)精製したFlhFのGTPase活性。FlhFはFlhGの存在下でGTP加水分解能を示す。触媒残基に生じたR334A変異および、機能欠損を引き起こすE440K変異により、GTPase活性は失われる。

(C) 精製したFlhFを、GTPまたはGDP存在下でゲル濾過カラムクロマトグラフィーにより分析した。各分画に溶出したFlhFをイムノブロットで検出し、分子量マーカーの溶出位置(矢頭)と共に示した。FlhFのピーク溶出位置をアスタリスク(*)で示している。GDP存在下では単量体(57 kDa)に相当する画分22に溶出しているが、GTP存在下では画分20に溶出し、二量体(114 kDa)を形成していると考えられる。


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