論文紹介

第32回論文紹介(2018.10更新)

グループ名
生体機序論グループ
著者

清水 達太、ストラヒル パストゥホフ、花房 洋、松本 邦弘、久本 直毅

タイトル(英)
The C. elegans BRCA2–ALP/Enigma complex regulates axon regeneration via a Rho GTPase–ROCK–MLC phosphorylation pathway.
タイトル(日)
線虫C. elegansにおいてBRCA-2–ALP/Enigma複合体はRho–ROCK–MLCリン酸化経路を介して神経軸索再生を制御する
発表された専門誌
Cell Reports 24, 1880-1889 (2018).

神経は軸索と呼ばれる長い繊維を持ち、それが損傷や切断を受けた場合に再生・修復する能力を持つ。この能力は無脊椎動物から哺乳動物まで種を超えて保存されているが、メカニズムの詳細については不明の部分が多い。今回、我々は線虫C. elegansにおいて、ヒトの乳がん原因遺伝子BRCA2のホモログであるBRC-2を、神経軸索の再生を制御する因子として同定した。同時に、低分子量Gタンパク質RHO-1がセリン・スレオニンキナーゼLET-502を介して非筋ミオシン軽鎖ホモログMLC-4のリン酸化を誘導するシグナル伝達経路が、神経軸索再生を制御することも見出した。さらにBRC-2の結合因子として、ALP/Enigmaタンパク質であるALP-1を同定した。ALP-1はLET-502とMLC-4の両方と結合することで、ALP-1がRHO-1–LET-502シグナル経路によるMLC-4リン酸化の足場として機能していた。またBRC-2は、この経路に対して抑制的に働くLET-502のC端がALP-1に結合することを阻害しすることにより、RHO-1によるLET-502の活性化のステップを制御していた。以上の結果から、BRC-2とALP-1はRHO-1–LET-502シグナル経路によるMLC-4リン酸化経路上でそれぞれ機能することにより、神経軸索再生を制御することが示唆された。

図:BRC-2–ALP-1複合体によるRho–ROCK–MLCリン酸化経路を介した神経軸索再生制御機構の模式図


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