論文紹介

第33回論文紹介(2019.6更新)

グループ名
生体膜機能グループ
著者

Norihiro Takekawa, Miyu Isumi, Hiroyuki Terashima, Shiwei Zhu, Yuuki Nishino, Mayuko Sakuma, Seiji Kojima, Michio Homma, Katsumi Imada

タイトル(英)
Structure of Vibrio FliL, a new stomatin-like protein that assists the bacterial flagellar motor function.
タイトル(日)
細菌べん毛モーターの機能をアシストする新規ストマチン様タンパク質FliLの構造
発表された専門誌
mBio 10(2). pii: e00292-19. (2019), doi: 10.1128/mBio.00292-19.

細菌はべん毛と呼ばれるらせん状の繊維を蛋白質でできた小さなモーターを使ってスクリューのように回して泳ぎます。べん毛モーターには電気モーターと同様に回転子と固定子があり、両者の相互作用で力が発生します。負荷が高くなるとべん毛モーターは出力を上げますが、このときFliL蛋白質が必要です。FliLを失った細菌は、高粘性下での運動能力を失います。細菌の感染には、人や動物の細胞表面や粘膜などの粘性が高い場所を移動する必要があるため、FliLが必要です。しかし、FliLがモーターの高出力化にどのように寄与するのか、長い間、謎でした。今回、研究グループは、X線結晶構造解析によりFliLの立体構造を世界で初めて解明し、その機能する仕組みのを明らかにする手がかりを得ました(図1)。FliLは10個の分子からなるリング状の複合体を形成すること、哺乳類の神経や赤血球などにも存在するストマチン様蛋白質と共通の構造を持つことが明らかになりました。ストマチン様蛋白質は外部刺激を受け取り、イオン透過に関与する多様な膜蛋白質の活性を制御することが知られています。しかし、ストマチン様蛋白質が具体的にどのような分子機構により機能を発揮するかに関してはほとんど分かっていません。本研究から得られた知見は、細菌モーターの出力強化のしくみだけでなく、哺乳類や植物を含めた全ての生物における膜蛋白質の活性制御の共通機構を明らかにすることに繋がります。

図1:

FliLが機能する仕組み。一回膜貫通タンパク質であるFliLが、固定子の周りに集合して、安定に回転子の周りで、固定子による高出力の回転力を作り出すと予想される。


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