論文紹介

第33回論文紹介(2019.6更新)

グループ名
生体膜機能グループ
著者

小嶋 誠司、米田 拓郎、森本 和加子、本間 道夫

タイトル(英)
Effect of PlzD, a YcgR homologue of c-di-GMP-binding protein, on polar flagellar motility in Vibrio alginolyticus
タイトル(日)
c-di-GMP結合タンパク質YcgRのホモログであるPlzDの海洋性ビブリオ菌極べん毛運動への影響
発表された専門誌
Journal of Biochemistry (2019) doi: 10.1093/jb/mvz014

YcgRは大腸菌においてc-di-GMPを結合するタンパク質で、c-di-GMP依存的にべん毛モーターに結合し、モーターの回転にブレーキをかけることでバイオフィルムの形成を促すと考えられている。海洋性ビブリオ菌はYcgRのホモログとしてPlzDを持つが、その役割は明らかではなかった。我々はビブリオ菌の極べん毛運動にPlzDが影響する可能性を検討するため、PlzDをクローン化し野生株で過剰発現させた。すると栄養の低い培地中で大過剰発現させると極べん毛運動に阻害が見られ、C末端側にGFPを融合したPlzDは極べん毛基部に局在することが分かった。一方PlzDのN末端35残基を欠失させると運動阻害と極局在は失われた。推定c-di-GMP結合部位の変異は運動能阻害に影響しなかったため、YcgRと異なりPlzDはc-di-GMP非依存的に極べん毛運動を阻害し、N末端領域を介して極局在することが機能に重要と考えられた。しかし、過剰発現したPlzDは細胞内で凝集し沈殿すること、精製したPlzDのN末端アミノ酸配列決定と染色体から発現させたPlzD-GFPの解析から内在性のPlzDはMet33から発現することが明らかとなり、PlzDの極べん毛モーターへの結合能は実際には非常に弱く、内在性のPlzD量では極べん毛運動を阻害できないと考えられた。

図:PlzD過剰発現によるビブリオ菌極べん毛運動阻害

(A)大腸菌で発現させ精製したPlzDのSDS-PAGE。
(B)精製PlzDのN末端アミノ酸配列。Aの下側のバンド(黒三角)を切り出し、そのN末端配列を決定すると、NRNMS(赤線)であった。
(C)軟寒天培地上におけるPlzDによる極べん毛運動阻害。野生型PlzD(WT)を野生株内でプラスミドから過剰発現させると、空ベクターを持つ株(vector)より運動リングのサイズが小さくなる。推定c-di-GMP結合部位の変異体(R169A, G200A)でも、野生型と同程度の阻害を示している。
(D)プラスミドから過剰発現したPlzDのウエスタンブロット。全細胞抽出液を抗PlzD抗体で解析した。2本見られるバンドのうち下のバンド(黒三角)は、M33A変異で消失した。このことから、PlzDの開始メチオニンが実際はMet33であり、PlzDのクローン化当初に考えていたMet1ではないと考えられた。


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