論文紹介

第33回論文紹介(2019.6更新)

グループ名
遺伝子解析学グループ(遺伝子実験施設)
著者

海老原哲男、松田拓也、杉田千恵子、一瀬瑞穂、山本 宏、鹿内利治、杉田 護

タイトル(英)
The P-class pentatricopeptide repeat protein PpPPR_21 is needed for accumulation of the psbI-ycf12 dicistronic mRNA in Physcomitrella chloroplasts.
タイトル(日)
Pクラスのペンタトリコペプチドリピートタンパク質は葉緑体psbI-ycf12 dicistronic mRNAの蓄積に必要である.
発表された専門誌
The Plant Journal, 97 (6), 1120-1131 (2019)

葉緑体遺伝子の多くはポリシストロニックに転写されるが、転写されてできた一本の長い前駆体RNAは、部位特異的なRNA切断など複雑なプロセスをへて、翻訳可能な成熟mRNAやrRNAやtRNAになる。この過程に核コードのペンタトリコペプチドリピートタンパク(PPR)タンパク質が遺伝子特異的に働いていることが知られている。本論文では、葉緑体に局在するヒメツリガネゴケのPPR21タンパク質の機能解析を行った(図1A)。同タンパク質をコードする核遺伝子をノックアウトすると、コケ原糸体の生長、光合成能と光化学系Ⅱ複合体の形成が野生株のものよりも顕著に低下した。そこで、葉緑体ゲノムワイドに遺伝子発現レベルを調べたところ、光化学系ⅡサブユニットをコードするpsbI-ycf12 dicistronic mRNAだけがノックアウト株で蓄積していないことが判明した(図1B)。さらに、PPR21タンパク質がpsbI mRNAの5’非翻訳領域と翻訳領域にそれぞれ結合することがわかった。以上の結果を踏まえて、PPR21タンパク質の分子機能に関するモデルを提唱した(図1C)。PPR21タンパク質はpsbI-ycf12 dicistronic mRNAに結合して、その安定性に働いていると考えられる。

図:


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