論文紹介

第33回論文紹介(2019.6更新)

グループ名
細胞間シグナル研究グループ
著者

篠原 秀文、安江 奈緒子、大貫 哲男、近藤 恭光、吉田 稔、松林 嘉克

タイトル(英)
Screening and identification of a non-peptide antagonist for the peptide hormone receptor in Arabidopsis
タイトル(日)
ペプチドホルモン受容体に対する非ペプチド性アンタゴニストの創成
発表された専門誌
Communications Biology 2, 61 (2019)

この20年間で数々の新しいペプチドホルモンが同定され、それらの受容体も解明されてきました。しかし、フィールドでこれらの成果を応用するには、ペプチドホルモンの自然界における分解されやすさが問題になります。そこで、私たちはペプチドホルモン受容体の機能を人為的にコントロールするため、内生のリガンドの結合を阻害する低分子化合物の探索法を確立して、実際にアンタゴニストのスクリーニングを行ないました。この研究では、茎頂や根においてペプチドホルモンの受容に関わるBAM1をモデルとして用いています。BAM1を微小ビーズに固定化し、蛍光ラベルしたCLE9をリガンドとして加えると、ビーズ表面に結合したリガンドの蛍光が観察されます。この蛍光を指標に、約3万種類の低分子化合物ライブラリーからCLE9の結合を阻害する分子を探索したところ、NPD12704(写真)をBAM1のアンタゴニストとして同定することに成功しました。NPD12704はBAM1のもうひとつのリガンドであるCLV3の結合も阻害でき、植物体に与えるとBAM1の欠損と類似した効果を示すことが確かめられました。本研究で確立したアンタゴニストのスクリーニング法は、他のペプチドホルモン―受容体ペアにも応用できるため、今後のペプチドホルモン情報伝達系をターゲットとした薬剤の開発につながることが期待されます。

図:NPD12704の構造


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