論文紹介

第33回論文紹介(2019.6更新)

グループ名
生殖生物学グループ
著者

菊地 真理子、西村 俊哉、齋藤 大助、重信 秀治、髙田 律子、José Arturo Gutierrez-Triana、Juan Luis Mateo Cerdán、髙田 慎治、Joachim Wittbrodt、須山 幹太、田中 実

タイトル(英)
Novel components of germline sex determination acting downstream of foxl3 in medaka
タイトル(日)
メダカ生殖細胞の性決定に働くfoxl3下流因子の新規同定
発表された専門誌
Developmental Biology 445 (1): 80-89, 2019

卵巣・精巣内に存在する生殖幹細胞は、性的に異なる配偶子(精子/卵)を産生するために性決定を行う必要がある。この「生殖細胞の性決定因子」として硬骨魚類メダカで同定された遺伝子がforkhead box L3(foxl3)であり、メスの生殖細胞内で精子形成の抑制に寄与している(Nishimura T, et al., 2015, Science)。
 しかしながらfoxl3によって生殖幹細胞の性が具体的にどう制御されるかはすべての脊椎動物を通じて不明である、そこで1) 野生型生殖細胞とfoxl3変異体生殖細胞のトランスクリプトーム比較解析、2) エピスタシス解析、3) FOXL3結合モチーフの決定、4) FOXL3抗体によるChIP-qPCR解析を行い、2つのfoxl3下流遺伝子(rec8afbxo47)を同定することに成功した。REC8は姉妹染色分体の接着を制御し、FBXO47はE3ユビキチンリガーゼとして働くことが知られているが、これらの機能と生殖細胞の性分化との関連性については知られていなかった。本研究によって、rec8afbxo47が生殖細胞の性決定を司る未知のメカニズム解明の取り掛かりを得られた。

図1:

foxl3の下流で生殖細胞の性決定に関与する因子を探索した。foxl3–/– XX 生殖細胞と比較して野生型XX生殖細胞で発現上昇を示した600遺伝子のスクリーニングを行い、rec8afbxo47を同定した。rec8afbxo47の上流ゲノム領域には、本研究で新規に同定したFOXL3結合モチーフが存在し、この領域には内在性のFOXL3タンパク質が相互作用することが示された。

図2:

frec8afbxo47は、クロマチン高次構造やタンパク質の分解などに関与することが知られている。本研究は、これらの分子機構が「生殖細胞の性決定」に関している可能性を示している。


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