論文紹介

第33回論文紹介(2019.6更新)

グループ名
植物生理学グループ
著者

南 杏鶴、高橋 宏二、井上 晋一郎、多田 安臣、木下 俊則

タイトル(英)
Brassinosteroid induces phosphorylation of the plasma membrane H+-ATPase during hypocotyl elongation in Arabidopsis thaliana.
タイトル(日)
ブラシノステロイドはシロイヌナズナの胚軸伸長過程において細胞膜H+-ATPaseのリン酸化を誘導する。
発表された専門誌
Plant and Cell Physiology, in press (2019)

ブラシノステロイドは植物の成長調節を司る植物ホルモンの一種であり、少なくとも部分的には細胞膜H+-ATPaseの活性化を介した酸成長過程を経て細胞伸長を促進することが知られているが、その活性化機構は明らかとなっていない。そこで、本研究では細胞膜H+-ATPaseのリン酸化制御に注目して解析を行った。ブラシノステロイド生合成阻害剤ブラシナゾールで前処理を行ったシロイヌナズナの黄化芽生えにブラシノライド(ブラシノステロイドの一種)を施すと、胚軸伸長を誘導するとともに細胞膜H+-ATPaseの活性調節に重要であるC末端から2番目のアミノ酸(スレオニン)のリン酸化レベルが上昇することが明らかとなった。このリン酸化レベル上昇はブラシノステロイド受容体BRI1の変異体bri1-6では見られず、また、ブラシノステロイドシグナル伝達機構のnegative regulatorであるBIN2の阻害剤ビキニンがブラシノライドと同様の作用を示したことから、既知のブラシノステロイドシグナル伝達機構であるBRI1-BIN2過程を介して細胞膜H+-ATPaseのリン酸化制御が行われていることが示唆された。また、ブラシノライド処理によりSAUR 遺伝子の発現上昇が認められたことから、SAURタンパク質によるタイプ2Cプロテインホスファターゼclade-D(PP2C-D)の活性抑制が関与していることも推察された。

図:

ブラシノステロイド(BR)は、BRI1-BIN2過程を介して細胞膜H+-ATPaseのC末端から2番目のアミノ酸残基をリン酸化する。ここには、SAURとPP2C-Dが介在すると推察される。


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