論文紹介

第34回論文紹介(2019.10更新)

グループ名
動物器官機能学グループ
著者

道白 隆志、山口 真広、山本 直之、清水 貴史、小坂田 文隆、日比 正彦

タイトル(英)
Tracing of Afferent Connections in the Zebrafish Cerebellum Using Recombinant Rabies Virus
タイトル(日)
組換え狂犬病ウイルスを用いたゼブラフィッシュ小脳入力線維の解析
発表された専門誌
Frontiers in Neural Circuit, 13:30, 2019. doi: 10.3389/fncir.2019.00030.

小脳は、協調的運動や運動学習だけでなく、情動・認識に依存した高次機能にも関与している。その小脳の機能を理解するためには、詳細な神経回路構造の解明が必要である。我々は、ゼブラフィッシュ小脳の入力ニューロンを同定するため、組換え狂犬病ウイルスを用いて逆行性経単一シナプス性神経回路トレーシングを行った。本研究では、外被糖タンパク質遺伝子(G)が欠損しGFPを発現させる組換え狂犬病ウイルスを用いた。また、このウイルスはトリ肉腫白血病ウイルスのエンベロープタンパク質EnvAで擬装化されている。aldolase Cacerebellin 12のプロモーターを用いて、EnvA受容体TVAとG遺伝子を、それぞれプルキンエ細胞および顆粒細胞に発現させた系統を作製した。プルキンエ細胞に組換え狂犬病ウイルスを感染させたところ、GFPがプルキンエ細胞の入力ニューロンである顆粒細胞と下オリーブ核ニューロンで検出されたことから、組換え狂犬病ウイルスによる逆行性トレーシングがゼブラフィッシュでも可能であることが示された。さらに、顆粒細胞に組換え狂犬病ウイルスを感染させたところ、GFPが視蓋前核、小脳弁外側核、中心灰白質、内側聴側線核、下行聴核等のニューロンで検出された。これら小脳前核ニューロンは、少なくとも一部は、哺乳類のものと相同であると考えられた。我々の研究結果は、ゼブラフィッシュを用いた小脳神経回路の機能解析のための基礎的情報を提供するものと考えられる。

図1:組換え狂犬病を用いた顆粒細胞入力線維(苔状線維)のトレーシング

顆粒細胞にTVAとGを発現するゼブラフィッシュ系統Tg(cbln12:TVA-mCherry); Tg(cbln12:G)の成魚の小脳の左側にウイルス液を注入後、34―35度で10日間飼育した。脳を取り出し、横断切片をmCherry抗体(赤紫色)、GFP抗体(緑色)、Hochst(核染、赤緑)で染色した。GFP陽性TVA-mCherry陰性ニューロン(入力ニューロン)を、中心視蓋前核(CPN、B)、交連傍核(PCN、C、D)、小脳弁外側核(NLV、E―G)、中心灰白質(GC、H)、 内側聴側線核(MON、I)、下行聴核(DON、J、K)に認めた。CC:小脳陵、EG:顆粒隆起、GL:顆粒層、ML:分子層、PGZ:視蓋傍脳室灰白層、TeO:視蓋、TeV:視蓋脳室、TL:縦走堤、Val:小脳弁外葉、Vam:小脳弁内葉

図2:ゼブラフィッシュのおける入力線維

苔状線維と登上線維は、青線と赤線でそれぞれ表示。黒矢印線は、すでに報告されている線維。CG:中心灰白質、cerebellum:小脳、CPN:中心視蓋前核、diencephalon:間脳、EC:広樹状細胞、GC:顆粒細胞、DON:下行聴核、IO:下オリーブ核、medulla oblongata:延髄、MON:内側聴側線核、NLV:小脳弁外側核、PC:プルキンエ細胞、PCN:交連傍核、Pi:視蓋前介在核、pretectum:視蓋前野、rhombencephalon:菱脳。


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