論文紹介

第34回論文紹介(2019.10更新)

グループ名
動物器官機能学グループ
著者

二村 隆征、伊藤 翼、萩尾 華子、林 拓人、Di Donato Vincenzo、竹内 未紀、伊藤 岳晟、井之口 文月、佐藤 良勝、山本 直之、勝山 裕、Del Bene Filippo、清水 貴史、日比 正彦

タイトル(英)
Role of Reelin in cell positioning in the cerebellum and the cerebellum-like structure in zebrafish
タイトル(日)
ゼブラフィッシュの小脳および小脳構造における細胞位置決めにおけるリーリンの役割
発表された専門誌
Developmental Biology, doi: 10.1016/j.ydbio.2019.07.010.

ゼブラフィッシュの小脳および中脳視蓋内の小脳様構造は、主要細胞(プルキンエ細胞やI型ニューロン)や顆粒細胞を含む複数の細胞から構成される。これらの神経回路では、主要細胞が顆粒細胞と他のニューロンからの情報を受け統合している。Reelinシグナルは、哺乳類の脳形成に重要な役割を果たしているが、他の脊椎動物の脳形成における役割は未だ不明である。本論文で我々は、ReelinおよびReelinシグナル分子VldlrとDab1aのゼブラフィッシュ変異体では、小脳において異所的なプルキンエ細胞、広樹状細胞、Bergmannグリア細胞、また中脳視蓋において異所的なI型ニューロンが見られることを見出した。これらの変異体では、異所的なプルキンエ細胞とI型ニューロンは、異常な入力線維を受けていた。野生型のゼブラフィッシュでは、reelinの転写産物は内顆粒細胞層に見られたが、Reelinタンパク質は小脳と中脳視蓋の表層に局在していた。顆粒細胞の軸索のレーザー切断により、Reelinタンパクの局在が阻害された。また、キネシンI構成要素をコードするkif5aakif5baの二重変異体では、顆粒細胞の軸索伸長とReelinタンパク質の分布が阻害された。以上の結果は、ゼブラフィッシュの小脳および小脳様構造の形成課程で、(1)Reelinは顆粒細胞の細胞体から軸索輸送によって表層に運ばれる、(2)Reelinは脳室帯からのニューロンとグリアの移動を制御している、(3)プルキンエ細胞とI型ニューロンが入力線維を誘引している、ことを示している。

図1:ゼブラフィッシュreelin、vldlr、dab1a変異体の小脳プルキンエ細胞の位置異常

(A-J)野生型(A-A”)、reelin変異体(C-C”、E-E”)、vldlr変異体(G-G”)、dab1a変異体(I―I”)成魚の脳の矢状断をparvalbumin7抗体(Pvalb7、プルキンエ細胞に発現、赤紫色)、Vglut1抗体(顆粒細胞軸索に発現、緑色)で染色した。(B-B”、D-D”、F-F”、H-H”、J-J”)A”、C”、E”、G”、I”の点線のボックスの領域の拡大像。異所的なプルキンエ細胞は矢尻で示されている。顆粒細胞からの異所的なプルキンエ細胞への投射は、点線の楕円で示されている。(K)異所的プルキンエ細胞。14 μm脳の矢状断を作製後、4枚おきの断面における異所的プルキンエ細胞を計測した。(L)顆粒細胞に位置するプルキンエ細胞の割合。GCL:顆粒細胞層、ML:分子層、PCL:プルキンエ細胞層

図2:ゼブラフィッシュ小脳および中脳視蓋の層形成と神経回路形成におけるReelinの役割

reelin mRNAとReelinタンパク質はそれぞれ黒色と緑色で示している。主要細胞(プルキンエ細胞とI型ニューロン)、Bergmannグリア細胞、広樹状細胞は、それぞれ紫色、オレンジ色、黄色の円で示されている。GCL:顆粒細胞層、ML:分子層、PCL:プルキンエ細胞層、SFGS:浅線維層および浅灰白層、SM:辺縁層、SO:視神経層、TL:縦走堤


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